「罪の声/塩田武士」を読んだ
ちょっとひっかかったので世田谷中央図書館で借りてみた塩田武士の「罪の声」(講談社)について。
こんなあらすじ。京都でテーラーを営む"曽根俊也"は、ある日父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを見つける。ノートには英文に混じって製菓メーカーの「ギンガ」と「萬堂」の文字がかかれており、テープを再生すると自分の幼いころの声が聞こえてくる。それは31年前に発生し未解決のままの「ギン萬事件」で恐喝に使われた録音テープの音声とまったく同じだった...。
これ、昭和59年から60年に阪神を舞台に起きた食品会社を標的とした一連の企業脅迫未解決事件「グリコ・森永事件」をモデルにした長編小説。まずこの小説の面白さは、「グリコ・森永事件」では犯行に子供の声が使われ、その子供達を焦点にストーリーが展開されるところ。その家族には時効はないし、その子供が今どのように生きているかにたどり着くまでの紆余曲折と労力が面白い。また、「グリコ・森永事件」の史実通りに発生日時や場所、挑戦状や脅迫状の文言、報道内容が書かれているため、まるでノンフィクション小説を読んでいるようだった。
この「グリコ・森永事件」はちょうど自分が高校生の頃で、「かい人21面相」と名乗った犯人とか、公開された「キツネ目の男」の似顔絵など、いまでも強烈な印象が残っている。多くの犯人達、その家族や関係者、事件現場などが事件発生当時と現在D複雑に絡み合い、集中しないとわからなくなりそうだったけど、とても面白い犯罪小説だった。
cf. 塩田武士 読破 List
- 罪の声 (2016)
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