「奇跡の人 The Miracle Worker/原田マハ」を読んだ
ほんと読みまくってる原田マハ。世田谷中央図書館で借りて読んでみた「奇跡の人 The Miracle Worker」(双葉文庫)について。
こんなあらすじ。岩倉使節団の留学生として渡米した"去場安(さりば・あん)"は、日本にも女子教育をという夢を抱いて帰国するが、周囲に理解されず失望と焦燥の中にいた。そこへ伊藤博文伯爵から青森県の弘前に住む友人の長女"介良(けら)れん"を教育してほしいという手紙が来る。その手紙には、<一つ。れん嬢は盲目です。まったく見えません。二つ。耳が聞こえません。三つ。口が利けません>と書かれてあった...。
大きな苦難を背負った少女と人間の可能性を信じて彼女の教育に献身する女教師のふたりの闘いを描いた物語。あのヘレン・ケラーとアン・サリバンの物語を明治時代の日本を舞台にアレンジし、そこに盲目の旅芸人"ボサマ"やイタコ憑依、津軽三味線など津軽の社会風土が物語に趣を加わっていた。蔵に幽閉されていた少女、その少女を人間として扱わず虐待していた女中たち、その女中たちの閉鎖的な上下関係、世間体のために少女のことを隠し続けた夫婦と兄...日本の閉鎖的な社会が描かれていて、それにも戦う女教師の姿が痛ましかったし、ときに女教師の無邪気すぎる考え方が浅はかだったりと引き込まれて読んでしまった。ちなみに奇跡の人とはヘレン・ケラーのことだと今まで思っていたけど、女教師アン・サリバンのことだって知らなかった。
cf. 原田マハ 読破 List
- カフーを待ちわびて (2006)
- ランウェイ☆ビート (2008)
- さいはての彼女 (2008)
- キネマの神様 (2008)
- 花々 (2009)
- 翼をください (2009)
- 本日は、お日柄もよく (2010)
- 星がひとつほしいとの祈り (2010)
- まぐだら屋のマリア (2011)
- 永遠をさがしに (2011)
- 楽園のカンヴァス (2012)
- 旅宿おかえり (2012)
- 生きるぼくら (2012)
- いつも一緒に -犬と作家のものがたり-/新潮文庫編集部(編)・檀ふみ・小路幸也・遠藤周作・角野栄子・伊丹十三・鷺沢萠・伊集院静・江國香織・幸田文・久世光彦・小川洋子・佐藤愛子・糸井重里・原田マハ・島尾敏雄・馳星周・小澤征良・山崎豊子・唯川恵 (2013)
- ジヴェルニーの食卓 (2013)
- 総理の夫 First Gentleman (2013)
- 翔ぶ少女 (2014)
- 太陽の棘 (2014)
- 奇跡の人 The Miracle Worker (2014)
- あなたは、誰かの大切な人 (2014)
- 暗幕のゲルニカ (2016)
- デトロイト美術館の奇跡 DIA:A Portrail of Life (2016)
- リーチ先生 (2016)
- 恋愛仮免中/奥田英朗・窪美澄・荻原浩・原田マハ・中江有里 (2017)
- アノニム (2017)
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