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Tuesday, May 08, 2018

「黒笑小説/東野圭吾」を読んだ

Keigohigashino_kokushoshosetsu たまに読んでる東野圭吾。世田谷中央図書館で借りて読んでみた「黒笑小説」(集英社文庫)について。
 これ、タイトル通り東野圭吾が書いた「黒い笑い」を集めたシートショート。それぞれこんなあらすじ。
・「もうひとつの助走」: 
 文学賞受賞者発表当日、小説家"寒川心五郎"の受賞を待つべく、各出版社の編集者達は店に集まった。寒川は消極的なことを言いながらも賞が欲しくてたまらない。編集者達は寒川の受賞を信じているというが、内心は無理だと思っている。そんな時に電話が鳴った...。
・「線香花火」:
 新人賞に応募し、見事受賞した新人作家の"熱海圭介"。受賞したことで有頂天になった熱海だったが、勤務先の上司の反応は変わらず、取引先からも馬鹿にされ、出版社の編集者達も無関心だった...。
・「過去の人」:
 かつて新人賞を受賞した新人作家の"熱海圭介"は、作家が集まるとあるパーティに招待された。受賞に誇りをもっている熱海は、そのパーティーで目立とうと頑張ったが...。
・「選考会」:
 第1回灸英社推理小説新人賞の選考委員に選ばれた作家の"寒川心五郎"は、うれしくてたまらない。同じく選考委員に選ばれた作家の友引三郎と轟木花子とともに、候補作の選考を始めるが、出版社には別の目論見があった...。
・「巨乳妄想症候群」:
 なぜかあらゆるものが巨乳に見えてしまうという巨乳妄想症候群に陥ってしまった私。友人の精神科医タムラに見てもらうが、治らず、症状は別の方向にいってしまう...。
・「インポグラ」:
 飲むとインポテツになる薬「インポグラ」が発明された。そのインポグラを開発した友人から、なんとかこの薬の有効な使い道を考えてくれと広告代理店の主人公は頼まれた...。
・「みえすぎ」:
 遺伝的な特殊能力のおかげで、突然空気中の見えない塵や埃など普通の人には見えない微小な粒子までも見えるようになってしまった俺...。
・「モテモテスプレー」:
 女性にもてない"タカシ"は、吹きかけるとモテモテになるスプレーを手に入れる。しかし、そのスプレーの効果は持続時間はだんだん難しくなっていくほど、タカシの「もてない度」は強力だった...。
・「シンデレラ白夜行」:
 今日もシンデレラは、継母や姉達にいじめられていたという童話「シンデレラ」のパロディ。
・「ストーカー入門」:
 "華子"にふられた僕は、追跡、つきまといから彼女が出すゴミあさりまでしぶしぶとストーカーをやらされる...。
・「臨界家族」:
 "川島哲也"は、娘の"優美"からTVで放送されているキャラクター商品を買って買ってと急かされていた...。
・「笑わない男」:
 お笑い芸人コンビの"拓也"と"慎吾"は、まったく笑わないホテルのボーイをなんとかして笑わせようと悪戦苦闘する...。
・「奇跡の一枚」:
 それほど綺麗ではない顔立ちの大学生の"遥香"は、ある日、山中湖でのゼミ合宿で自分とは思えないほど綺麗な自分の写真を手に入れる...。

 まずあの理系で理論的でクソ真面目そうな東野圭吾が、こんなブラックでくだらない短編を書いていたことに衝撃を受ける。まさに奥田英朗ぽいなって思って読んでいたら、最後の解説が奥田英朗だったのも笑える。で、個人的よかったのは、文壇事情を皮肉たっぷりに書いた4作「もうひとつの助走」と「線香花火」と「過去の人」と「選考会」、したたかな女とデリケートな男という構図がおもろい「インポグラ」、望むものは自分の知恵と実力で積極的に獲りに行くというしたたかな童話「シンデレラ白夜行」、くどくてめんどくさい「ストーカー入門」、キャラクターライセンスビジネスの恐怖を描いた「臨界家族」、心霊写真オチの「奇跡の一枚」あたり。
 この東野圭吾の「○笑小説」シリーズは他にも3作あるらしい。ちょっと読みたくなった。

cf. 東野圭吾 読破 List
- ブルータスの心臓 (1989)
- 回廊亭殺人事件 (1991)
- 美しき凶器 (1992)
- 分身 (1993)
- パラレルワールド・ラブストーリー (1995)
- 悪意 (1996)
- 秘密 (1998)
- 白夜行 (1999)
- 予知夢 (2000)
- 嘘をもうひとつだけ (2000)
- レイクサイド (2002)
- 時生 (2002)
- 幻夜 (2004)
- さまよう刃 (2004)
- 容疑者Xの献身 (2005)
- 黒笑小説 (2005)
- 赤い指 (2006)
- 流星の絆 (2008)
- 聖女の救済 (2008)
- パラドックス13 (2009)
- カッコウの卵は誰のもの (2010)
- プラチナデータ (2010)
- 白銀ジャック (2010)
- 麒麟の翼 (2011)
- 真夏の方程式 (2011)
- マスカレード・ホテル (2011)
- 虚像の道化師 ガリレオ7 (2012)
- ナミヤ雑貨店の奇蹟 (2012)
- 夢幻花 (2013)
- 疾風ロンド (2013)
- 祈りの幕が下りる時 (2013)
- 虚ろな十字架 (2014)
- マスカレード・イブ (2014)
- 禁断の魔術 (2015)
- 天空の蜂 新装版 (2015)

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