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Wednesday, July 04, 2018

「たゆたえども沈まず/原田マハ」を読んだ

Mahaharada_tayutaedomoshizumazu ほんと読みまくってる原田マハ。世田谷中央図書館で借りて読んでみた新しめの「たゆたえども沈まず」(幻冬舎)について。
 こんなあらすじ。1886年栄華を極めたパリの美術界に、流暢なフランス語で浮世絵を売りさばく"林忠正"という日本人がいた。同じ頃、売れない画家の"フィンセント・ファン・ゴッホ"は、放浪の末、パリにいる画商の弟"テオ"の家に転がり込んでおり、そのテオは兄の才能を信じ献身的に支え続けていた。そんなフィンセントとテオの兄弟の前に忠正が現れ、大きく運命が動き出した...。
 ジャポニズムにわくパリを舞台に、浮世絵を引っさげて世界に挑んだ日本人画商の林忠正と助手の重吉、そして自分だけの表現を追い求め命を削って絵を描く孤高の画家 兄ゴッホとそれを支えた弟テオという4人の壮絶な魂の共鳴を描いたアート小説。精神に変調をきたし、耳を切ったゴッホとか、ゴーギャンとの交流とか、史実をもとにしたフィクション本なんだけど、あの事件の真相はこうだったと思わせてしまう原田マハの構成力がほんと凄い。
 で、全体を通しては悲劇のトーンなんだけど、傑作「星月夜」が生まれ落ちるシーンは鳥肌がった。ちなみにこの本の表紙にもなっているゴッホの「星月夜」は、ニューヨーク近代美術館で観たけど、この本を読んでいたらもっと違った印象を持ったと思う。これからゴッホや印象派、日本の浮世絵を観る時に思い出す作品になったと思う。

cf. 原田マハ 読破 List
- カフーを待ちわびて (2006)
- ランウェイ☆ビート (2008)
- さいはての彼女 (2008)
- キネマの神様 (2008)
- 花々 (2009)
- 翼をください (2009)
- 本日は、お日柄もよく (2010)
- 星がひとつほしいとの祈り (2010)
- まぐだら屋のマリア (2011)
- 永遠をさがしに (2011)
- 楽園のカンヴァス (2012)
- 旅宿おかえり (2012)
- 生きるぼくら (2012)
- いつも一緒に -犬と作家のものがたり-/新潮文庫編集部(編)・檀ふみ・小路幸也・遠藤周作・角野栄子・伊丹十三・鷺沢萠・伊集院静・江國香織・幸田文・久世光彦・小川洋子・佐藤愛子・糸井重里・原田マハ・島尾敏雄・馳星周・小澤征良・山崎豊子・唯川恵 (2013)
- ジヴェルニーの食卓 (2013)
- 総理の夫 First Gentleman (2013)
- 翔ぶ少女 (2014)
- 太陽の棘 (2014)
- 奇跡の人 The Miracle Worker (2014)
- あなたは、誰かの大切な人 (2014)
- 暗幕のゲルニカ (2016)
- デトロイト美術館の奇跡 DIA:A Portrail of Life (2016)
- リーチ先生 (2016)
- 恋愛仮免中/奥田英朗・窪美澄・荻原浩・原田マハ・中江有里 (2017)
- アノニム (2017)
- たゆたえども沈まず (2017)

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