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Monday, July 30, 2018

「アクシデント・レポート/樋口毅宏」を読んだ

Takehirohiguchi_accidentreport 結構ツボな作家のひとり、樋口毅宏。世田谷中央図書館で借りて読んでみた「アクシデント・レポート」(新潮社)について。
 こんなあらすじ。1995年7月26日、大阪発東京行き大洋航空420便と東京発沖縄行き大洋航空461便が衝突、両便乗客乗員合わせて678人のうち672人が死亡した。フライトレコーダーとコックピット・ボイスレコーダーは見つからず真相は闇に覆われる。ジャーナリストの矢島博美は、この史上最悪の航空機事故の真相を探るべく、奇跡の生存者、遺族、事故にまつわる関係者の証言をつづっていく...。
 これ、640ページを超える二段組みの超大物な1冊。読みにくいわけではないのに、読んでも読んでも終わらないし、その重さと分厚さに手が疲れてくる。で、そこに書かれているのは、史上最悪の航空機事故で人生を破壊された人々をインタビューした膨大な証言レポートで、事故だったのかそれとも事件だったのかがあぶりだされていく。その証言から浮かび上がる人間模様や無数の人生の断片、前後背後で出てくるホテルニュージャパン火災、日航機逆噴射事件、オウム真理教、原発問題に沖縄問題、そして報道の自由などなどが圧倒的な熱量で書かれまくっている。さらにオザケン、林真理子、正力松太郎から安倍晋三までが実名で登場してくるんだけど、結局は樋口は事故原因の究明ではなく、日本社会の闇を批判したかったんだと思う。
 墜落事故現場のおぞまし描写も含め、やっぱり樋口毅宏は凄まじい人だと思った。

cf. 樋口毅宏 読破 List
- さらば雑司ヶ谷 (2009)
- 民宿雪国 (2010)
- 雑司ヶ谷R.I.P. (2011)
- テロルのすべて (2011)
- 二十五の瞳 (2012)
- ルック・バック・イン・アンガー (2012)
- タモリ論 (2013)
- 甘い復讐 (2014)
- 愛される資格 (2014)
- ドルフィン・ソングを救え! (2015)
- さよなら小沢健二-1994-2015 樋口毅宏サブカルコラム全集- (2015)
- 太陽がいっぱい (2016)
- アクシデント・レポート (2017)

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