「モダン/原田マハ」を読んだ
ほんと読みまくってる原田マハ。三茶Tsutayaで買って読んでみた「モダン」(文春文庫)について。
これ、MoMAを舞台に、そこにたずさわる人々を描いた5つの短編集。それぞれこんなあらすじ。
・「中断された展覧会の記憶」:
ニューヨーク近代美術館(MoMA)で、展覧会ディレクターとして働く"杏子"は、3月11日夫の声で目覚めた。テレビには濁流にのみ込まれる日本の町の光景が映っていた。ちょうどその時、MoMAはアメリカの国民的画家であるアンドリュー・ワイエスの「クリスティーナの世界」を、ふくしま近代美術館に貸し出していた...。
・「ロックフェラー・ギャラリーの幽霊」:
MoMAの監視員である"スコット・スミス"の仕事は「ヴィジターを敬意をもって疑うこと」だった。ある日閉館間際にピカソの「アヴィニヨンの娘たち」の前に佇む青年を見かけるが、気が付くと姿を消していた。そしてもう1度現れた青年と言葉を交わすが、また気が付くと姿を消していた...。
・「私の好きなマシン」:
8歳の頃、MoMAのマシン・アート展に啓示を受けた"ジュリア・トンプソン"は、インダストリアルデザイナーになった。その企画を立ち上げた初代MoMA館長の"アルフレッド・バー"の訃報を受けて、ジュリアは彼との出会いを思い出す...。
・「新しい出口」:
9 .11でアシスタントキュレイターの"ローラ・ハモンド"は、同僚でライバルで親友の"セシル・アボット"を喪った。彼女を自分の身代わりで死んだかのように感じ、PTSDに掛った"ローラ"は、セシルも楽しみにしていた企画「マティス ピカソ」展が動き出したのを見届けるようにMoMAを辞める...。
・「あえてよかった」:
研修でMoMAに派遣された"森川麻美"は、美術館に併設されたデザインストアのウィンドウに飾ってある箸のディスプレイ方法が気になって仕方ない。麻美は自分の面倒を見てくれている"パティ"に、ためらいながら相談する...。
ニューヨーク近代美術館"MoMA"を舞台に描かれた5つの話。どの話も人々の心の機微を中心に描かれていて、どこかほっとしたり、応援したくなったりする話ばかり。そこに、ワイエスの「クリスティーナの世界」とか、ピカソ「アヴィニョンの娘たち」と「ゲルニカ」とか、 マティス「浴女と亀」と「マグノリアのある静物」 とかが出てくる。自分がMoMAに行ったのは1989年の冬で、「アンディー・ウォーホル大回顧展」の時。あれからもう30年近くが経った。死ぬ前にもう一度MoMAに行きたくなった。
cf. 原田マハ 読破 List
- カフーを待ちわびて (2006)
- 一分間だけ (2007)
- ランウェイ☆ビート (2008)
- さいはての彼女 (2008)
- キネマの神様 (2008)
- 花々 (2009)
- 翼をください (2009)
- 本日は、お日柄もよく (2010)
- 星がひとつほしいとの祈り (2010)
- まぐだら屋のマリア (2011)
- 永遠をさがしに (2011)
- 楽園のカンヴァス (2012)
- 旅宿おかえり (2012)
- 生きるぼくら (2012)
- いつも一緒に -犬と作家のものがたり-/新潮文庫編集部(編)・檀ふみ・小路幸也・遠藤周作・角野栄子・伊丹十三・鷺沢萠・伊集院静・江國香織・幸田文・久世光彦・小川洋子・佐藤愛子・糸井重里・原田マハ・島尾敏雄・馳星周・小澤征良・山崎豊子・唯川恵 (2013)
- ジヴェルニーの食卓 (2013)
- 総理の夫 First Gentleman (2013)
- 翔ぶ少女 (2014)
- 太陽の棘 (2014)
- 奇跡の人 The Miracle Worker (2014)
- あなたは、誰かの大切な人 (2014)
- モダン (2015)
- 暗幕のゲルニカ (2016)
- デトロイト美術館の奇跡 DIA:A Portrail of Life (2016)
- リーチ先生 (2016)
- 恋愛仮免中/奥田英朗・窪美澄・荻原浩・原田マハ・中江有里 (2017)
- アノニム (2017)
- たゆたえども沈まず (2017)
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