「土の中の子供/中村文則」を読んだ
「教団X」(2014)以来ひさしぶりに、Tsutaya三茶で買って読んでみた中村文則の「土の中の子供」(新潮文庫)について。
こんなあらすじ。27歳のタクシードライバーである彼は、自販機の前でたむろする不良達に煙草を投げつけた。不良達は怒り狂い、彼をボコボコにする。彼は激痛に苛まれながら、何かに到達できるという感覚を感じていたが、その前に気を失ってしまう...。
これ、第133回芥川龍之介賞受賞作。親に捨てられ、孤児として遠い親戚の家へと引き取られた主人公は、そこで毎日殴られ、蹴られ執拗な虐待を受け続けた。その理不尽な虐待の記憶と被虐の体験の引き込まれ、自身の半生を呪い持てあまし、健全な生を見失っていきながらも、かすかな希望を求めていくという話。暴力に乱された精神の暗部がともかく痛々しいし、救いようがなかった。
しっかし、中村文則の書く話は重厚で、鬼気迫る迫力がある。また他の本も読んでみよう。
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