「デンジャラス/桐野夏生」を読んだ
あんまり読んでない桐野夏生。世田谷中央図書館で借りて読んでみた「デンジャラス」(中央公論新社)について。
こんなあらすじ。太平洋戦争の戦時中、華やかな内容が時局に合わないと「細雪」が発禁になった谷崎潤一郎は、戦後一転して人気作家となった。私生活でも3度目の結婚で妻となった"松子"、結婚した夫に先立たれて出戻ったその松子の妹の"重子"、松子の先夫との間に生まれた息子の嫁の"千萬子"、雇っていた女中など多くの女性に囲まれて暮らした。その日々を「細雪」のヒロイン雪子のモデルとなった重子が回想してゆく...。
これ、昭和の文豪である谷崎潤一郎をめぐる奇妙な四角関係を描き、谷崎が作り上げた"家族帝国"で繰り広げられた文豪の「業」をテーマにした小説。周囲にいる女性達をモデルに作品を書くうちに、谷崎潤一郎は一家の暴君となり、その一方でモデルとなった女性達も谷崎を支えていくことに喜びや苦しみや嫉妬が生まれていく。基本的には資料をベースに書かれているけど、架空や想像や虚構でこの小説は成り立っている。谷崎は周囲の女性達から力を吸って優れた小説を生み出し、その女性達は居場所を求めて闘っていた。ほんと桐野夏生らしい毒毒しい小説だった。
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