「ウォーターゲーム/吉田修一」を読んだ
ずーっと読んでる吉田修一。世田谷中央図書館で借りて読んでみた「ウォーターゲーム」(幻冬舎)について。
こんなあらすじ。晩秋の夜、突如ダムが決壊し、濁流が町を飲み、死者97名、行方不明者50名を超える大惨事が起きた。新聞記者の"九条麻衣子"は、被害を取材するうちに、決壊が事故ではなく大規模な犯罪である可能性に気づき、その夜に町を抜け出した土木作業員の男"若宮真司"を探し始める。一方その事件の陰で、AN通信の"鷹野"とその部下"田岡"は、ダム爆破計画を阻止するべく奔走していた。ダム爆破計画は、水道事業の民営化に金の匂いを嗅ぎ取った代議士"中尊寺"や国内外の企業によるテロ計画の一部だったが、いつのまにか計画の全てが盗まれ、首謀者が正体不明の人物に入れ替わっていた...。
これ、「太陽は動かない」(2012)、「森は知っている」(2015)に続くAN通信を舞台にした産業スパイ小説第3弾。スパイ要員は全員、施設に収録された元孤児で、戸籍を抹消されているという設定からこのシリーズに流れるトーンは、MI5なみにハードボイルド。今回は日本の水道民営化、キルギスの水源大規模開発などを題材に世界をまたにかけ、鷹野たちAN通信のスパイが活躍するエンターテインメント作品。仲間を裏切り、相手の裏の裏をかくという騙し合いがめちゃめちゃ面白く、疾走感があってイッキに読んでしまった。面白かった。
cf. 吉田修一 読破 List
- 最後の息子 (1999)
- 熱帯魚 (2001)
- パレード (2002)
- パーク・ライフ (2002)
- 日曜日たち (2003)
- 東京湾景 (2003)
- 長崎乱楽坂 (2004)
- ランドマーク (2004)
- 7月24日通り (2004)
- 春、バーニーズで (2004)
- ひなた (2006)
- 女たちは二度遊ぶ (2006)
- 初恋温泉 (2006)
- うりずん/吉田修一・佐内正史 (2007)
- 悪人 (2007)
- 静かな爆弾 (2008)
- さよなら渓谷 (2008)
- あの空の下で (2008)
- 元職員 (2008)
- キャンセルされた街の案内 (2009)
- 横道世之介 (2009)
- 空の冒険 (2010)
- 平成猿蟹合戦図 (2011)
- 太陽は動かない (2012)
- 路(ルウ) (2012)
- 愛に乱暴 (2013)
- 怒り (2014)
- 森は知っている (2015)
- 作家と一日 (2015)
- 橋を渡る (2016)
- 犯罪小説集 (2016)
- 最後に手にしたいもの (2017)
- 泣きたくなるような青空 (2017)
- ウォーターゲーム (2018)
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