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Monday, March 04, 2019

「日の名残り~The Remains of the Day/カズオ・イシグロ(著),土屋政雄(訳)-Kazuo Ishiguro」を読んだ

Kazuishiguro_hinonagori 2017年のノーベル文学賞を受賞したKazuo Ishiguro。世田谷中央図書館でやっと借りれた「日の名残り~The Remains of the Day」(ハヤカワepi文庫)について。
 こんなあらすじ。品格ある執事の道を追求し続けてきた老執事スティーブンスは、現在のアメリカ人の薦めもあり、イギリス国内をまわる短い旅に出た。美しい田園風景の中、古き良き時代の様々な思い出が頭をよぎる。長年仕えたダーリントン卿への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭ミス・ケントンへの淡い想い、2つの世界大戦の間に邸内で催された重要な外交会議の数々...遠い日の思い出は、輝きを増して今でも胸の中で生き続ける...。
 これ、老執事の旅行と回想を織り混ぜた一人称文学で、古き良き英国の情景と過ぎ去ってしまった栄光を懐かしむ悲哀が入り交じる話。この老執事は高潔な職業倫理と厳格な行動規範をもった英国紳士たる人物で、ともかく「品格」を重んじる。ノーベル文学書だし、きっと重くてド真面目な小説なんだろうというイメージをもって読み始めたんだけど、結構ユーモアたっぷり。旅先で欺瞞と嘘を演じて凹むシーンとか、新しいアメリカ人の主人にこれからは4人で運営してと言われ、人員削減に狼狽するシーンとか、案外笑える。それでも、自分が信じてきたモノの価値が揺らいだときにどうするかとか、後ばっかり振り返らずにジョークでも覚えて未来を見て生きようとか、なかなかいい話が続く。格調高すぎてめんどくさそうな読む前のイメージがガラっと変わった1冊でした。

cf. Kazuo Ishiguro 読破 List
- 日の名残り~The Remains of the Day (1989)

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