「ポイズンドーター・ホーリーマザー/湊かなえ」を読んだ
たまーに読んでる湊かなえ。世田谷中央図書館で借りて読んでみた「ポイズンドーター・ホーリーマザー」(光文社文庫)について。
母と娘、姉と妹、友人関係、そして男と女と後味が悪い6つの話が入った短編集がこれ。それぞれこんなあらすじ。
・「マイディアレスト」:
親に厳しく育てられた姉と、甘やかされて育った妹。妹は妊娠していたが、町で妊婦を狙った暴行事件が多発していたその時期に、深夜外出中に殺害されてしまう...。異性関係に厳格な母親の言いつけ通りに過ごしてきた結果、異性との交際にコンプレックスがある姉が語り手で事件が起きる。それが蚤取り。
・「ベストフレンド」:
脚本家を目指す作家3人が脚本新人賞を受賞する。その受賞式をきっかけに3人は連絡先を交換する。"涼香"は最優秀賞を取った"大豆生田"に、敵対心を持ちつつもメールではいい人を装って交流していた。大豆生田は、デビュー当初は芳しくなかったものの、賛否両論を生む結末で話題になり、徐々に有名になっていった。涼香はそんな大豆生田の姿を妬ましく思う。
・「罪深き女」:
ミライ電機の店内で無差別事件を起こし死傷者15名を出した容疑者"黒田正幸"。この事件を引き起こさせたのは自分のせいだと"天野幸奈"は警察に訴えに来た。
・「優しい人」:
"樋口明日実"は、母親によって「優しい子になれ」と躾られ、周囲から「優しい子」というレッテルを貼られるような子供に育てられてしまう。
・「ポイズンドーター」:
女優の"弓香"の元に、かつての同級生"理穂"から故郷での同窓会の誘いが届く。弓香は欠席を表明したが、それは、今も変わらず抑圧的な母親に会いたくなかったからだった。
・「ホーリーマザー」:
「ポイズンドーター」の続編。女優の"弓香"が、母親を「毒親」と発言していく中、その母親が交通事故で死んでしまう。そんな地元では、「弓香の母親は聖母のような人だった」という告発投書が雑誌に載ってしまう。
思い込みが激しい人間、自分を中心に物事をとらえ、主役気取りでふるまう人間、自分の思い通りに子供を抑圧し縛り続けることが教育だと思い混んだ人間...どの話も嫌な結末を迎え、嫌な気分で読了を迎える。まさにイヤミスがつまりまくった短編集だった。
cf. 湊かなえ 読破 List
- 告白 (2008)
- Nのために (2010)
- 夜行観覧車 (2010)
- 往復書簡 (2010)
- サファイア (2012)
- 白ゆき姫殺人事件 (2012)
- 物語のおわり (2014)
- 絶唱 (2015)
- リバース (2015)
- ポイズンドーター・ホーリーマザー (2016)
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