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Friday, April 12, 2019

「きのうの影踏み/辻村深月」を読んだ

Mizukitsujimura_kinonokagefumi たまーに読んでる辻村深月。ひさびさに世田谷中央図書館で借りて読んでみた「きのうの影踏み」(角川文庫)について。
これ、辻村深月が闇の世界を描いたホラー短編小説集。13の話が入っているんだけど、たとえばこんなあらすじ転記してみると...。
 あるホラー作家のもとに送られてきた手紙には、存在しない架空の歌手とラジオ番組のことが延々と綴られていたという。編集者たちの集まりによると、チェーンメールのように、何人かの作家にも届いているという。かくいう私にもその手紙は届いていた。その手紙のことを調べるうちに、文面の後ろのほう、文字が乱れて読み取れなくなっていた部分が、徐々に鮮明になってきている。ある日、友人作家が手紙のことで相談があると言ってきた。なんと、その手紙、サイン会で手渡しされたという。誰がその人物だったかはわからない。けれど、確実に近づいてきている...。(「手紙の主」)
 その交差点はよく交通事故が起こる。かつてそこで亡くなった娘の霊が、巻き添えにしていると、事故死した娘の母親は言っているという。その娘が好きだったという「M」の字の入ったカップがいつもお供えされていた。ある雨の日、そのおばさんがふらふらと横断歩道にさしかかり...。(「七つのカップ」)。
 どの話も読み出すと先が気になり後戻りできない話が多いんだけど、単なる怨霊とか描いたホラーではなく、どこか優しい世界が残っている印象。で、個人的よかったのは、ふと潰してしまったものを描いた「殺したもの」と民間伝承"秋田ナマハゲ"の思わぬ惨劇を描いた「ナマハゲと私」。ひさびさに読んだ辻村深月。ファンタジー作家としての質の高さを再認識しました。

「きのうの影踏み」収録作品
 ・「十円参り」
 ・「手紙の主」
 ・「丘の上」
 ・「殺したもの」
 ・「スイッチ」
 ・「私の町の占い師」
 ・「やみあかご」
 ・「だまだまマーク」
 ・「マルとバツ」
 ・「ナマハゲと私」
 ・「タイムリミット」
 ・「噂地図」
 ・「七つのカップ」

cf. 辻村深月 読破 List
- 冷たい校舎の時は止まる (2004)
- 凍りのくじら (2005)
- ぼくのメジャースプーン (2006)
- ロードムービー (2008)
- 太陽の坐る場所 (2008)
- ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (2009)
- 光待つ場所へ (2010)
- ツナグ (2010)
- 本日は大安なり (2011)
- オーダーメイド殺人クラブ (2011)
- 水底フェスタ (2011)
- サクラ咲く (2012)
- 鍵のない夢を見る (2012)
- 島はぼくらと (2013)
- 家族シアター (2014)
- 朝が来る (2015)
- きのうの影踏み (2015)
- かがみの孤城 (2017)

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