「黄砂の進撃/松岡圭祐」を読んだ
会社の友達Kmt君から借りて読んでみたのは松岡圭祐の「黄砂の籠城」(2017)。この義和団の変を中国側の視点で描いた「黄砂の進撃」(講談社文庫)について。
こんなあらすじ。清朝末期、辮髪と纏足で自由を縛られ、満州族に虐げられていた漢人は、宣教師にも生活を蹂躙され不満は頂点に達していた。そんな中、元・舟漕ぎで酒ばかり飲んで暮らしていた"張徳成"は、「扶清滅洋」の旗印のもと蜂起した「義和団」の指導者として祭り上げられる。巨大化していく義和団は、駐在武官"柴五郎"らの立て籠もる北京公使館区域に攻め入っていく...。
これ、元・舟漕ぎの張徳成が指導者の一人としてのちの義和団となる義和拳に合流し、「天下第一壇大師」となってその義和団を率い、北京の外国公使館区域(東交民巷)を包囲し、逆に列強諸国の援軍に包囲されて敗れるまでの経緯が描かれている。この張徳成はいきがかり上、義和団を率いることになったものの、本来の民衆蜂起の目的であるキリスト教宣教師による内政干渉と横暴を止めさせるにはどうしたらいいか考え、未来の理想像としてみんなが平等に百姓か労働者で等しく教育を受け、平和に共存する社会を描く人物として語られている。
日本側から描いた「黄砂の籠城」と今回読んだ中国側から描いた「黄砂の進撃」を読んで、歴史をある一面から見るだけではいけないということが伝わった。ちなみに「黄砂の籠城」と「黄砂の進撃」を編集した「義和団の乱 黄砂の籠城・進撃 総集編」もあるらしい。今度読んでみようと思う。
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