「ウルトラ・ダラー/手嶋龍一」を読んだ
会社の友達Kmt君から借りた本達。今回読んでみたのは手嶋龍一の「ウルトラ・ダラー」(新潮文庫)について。
こんなあらすじ。2002年ダブリンで、巧緻を極めた新種の偽100ドル札「ウルトラ・ダラー」がが発見される。BBCのラジオ特派員で英国情報部員"スティーブン・ブラッドレー"はその裏に隠された謎を追う。その「ウルトラ・ダラー」は、1968年東京で若き彫刻職人が失踪した事件がすべての始まりだった...。
これ、ダブリンで発見された超精巧な偽100ドル札「ウルトラ・ダラー」の製造地、経路、そして発行の目的を追う英国情報部員の姿を描いた小説。アメリカ、イギリス、日本、そして中国、北朝鮮が絡み、その裏でハイテク企業の無邪気な陰謀、拉致と核兵器という北朝鮮との日本外交の暗闇など熾烈な諜報戦のすえに浮かびあがってくる。そんな「外交においての信頼できる価値ある情報」である「インテリジェンス」を収集していく過程が面白い。
この小説を書いた手嶋龍一は前NHKワシントン支局長で、2001年の同時多発テロでは11日間も中継放送を行った人物。その手嶋龍一の好敵手で盟友で外交官で作家の"佐藤優"がこの小説の解説を書いているんだけど、これがとてもわかりやすい。まず「インテリジェンス小説とは、公開情報や秘密情報を精査、分析し、近未来で起こるであろう出来事を描く小説である」と定義し、これを書くには、秘密情報が入ってくる特権的な場所にいて、世に流れる膨大な公開情報から必要な内容を精査できるインテリジェンス能力と起きていることを描ける分析能力を持ち、その描いた内容を確認できる友人を政界や官界に持つことが必要としている。確かにそうだろうな。
ちなみこの小説のラストはきっと賛否両論だったと思う。ともかく、この「ウルトラ・ダラー」の姉妹編と位置づけられてる「スギハラ・サバイバル」も貸してくれたんで、楽しみに読んでみよう。
cf. 手嶋龍一 読破 List
- ウルトラ・ダラー (2006)
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