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Thursday, June 27, 2019

「国宝 上 青春篇・下 花道篇/吉田修一」を読んだ

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 ずーっと読んでる吉田修一。世田谷中央図書館で借りて読んでみた「国宝 上 青春篇」と「国宝 下 花道篇」(朝日新聞出版)について。
 こんなあらすじ。1964年1月、東京オリンピックが始まる年、長崎の料亭"花丸"で起きた暴力団抗争で、"立花喜久雄"はヤクザの父を亡くした。喜久雄は縁あって当代人気者の"二代目花井半二郎"のもとに身を寄せるが、元々興味のあった歌舞伎の修行を始め、部屋子として半二郎の息子"俊介"と切磋琢磨していく。極道と梨園、生い立ちも才能も違う若き2人の役者が、芸の道に青春を捧げていく...。
 これ、世襲が一般的な歌舞伎の世界で、ヤクザの息子という任侠の世界から歌舞伎の芸の道へ足を踏み入れ、ついには人間国宝にまで上り詰めた一人の男の人生を描いた物語。主人公の喜久雄だけでなく、ライバル、幼馴染、祇園の女、師匠、付き人、正妻、愛人、ヤクザ、興行会社...彼を囲む人々のキャラクターと激動な人生が面白いんだけど、彼らの極端な浮き沈みや、時間だけが解決できる問題や、取り返しのつかないことが凄まじい。さらにすごいのは喜久雄達の舞台での歌舞伎のシーン。子供のころ学校で行った社会科見学以外、歌舞伎を観たことがない自分でも、その美しさを感じることができた。
 読者ではなく、観客になっているという不思議な読書体験になった作品「国宝」だった。

cf. 吉田修一 読破 List
- 最後の息子 (1999)
- 熱帯魚 (2001)
- パレード (2002)
- パーク・ライフ (2002)
- 日曜日たち (2003)
- 東京湾景 (2003)
- 長崎乱楽坂 (2004)
- ランドマーク (2004)
- 7月24日通り (2004)
- 春、バーニーズで (2004)
- ひなた (2006)
- 女たちは二度遊ぶ (2006)
- 初恋温泉 (2006)
- うりずん/吉田修一・佐内正史 (2007)
- 悪人 (2007)
- 静かな爆弾 (2008)
- さよなら渓谷 (2008)
- あの空の下で (2008)
- 元職員 (2008)
- キャンセルされた街の案内 (2009)
- 横道世之介 (2009)
- 空の冒険 (2010)
- 平成猿蟹合戦図 (2011)
- 太陽は動かない (2012)
- 路(ルウ) (2012)
- 愛に乱暴 (2013)
- 怒り (2014)
- 森は知っている (2015)
- 作家と一日 (2015)
- 橋を渡る (2016)
- 犯罪小説集 (2016)
- 最後に手にしたいもの (2017)
- 泣きたくなるような青空 (2017)
- ウォーターゲーム (2018)
- 国宝 上 青春篇 (2018)
- 国宝 下 花道篇 (2018)

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