「王とサーカス/米澤穂信」を読んだ
たまに読んでいる米澤穂信。世田谷中央図書館で借りて読んでみた「王とサーカス」(創元推理文庫)について。
こんなあらすじ。2001年、新聞社を辞めてフリーの記者になったばかりの"太刀洗万智"は、知人の雑誌編集者から依頼されたアジア旅行特集の事前取材のために、ネパールの首都カトマンズへやって来た。宿泊するトーキョーロッジには、日本人の元僧侶"八津田"とアメリカ人大学生"ロブ"、インドの商人"シュクマル"が泊まっていた。太刀洗は現地で知り合った利口な少年"サガル"にガイドを頼み、取材を始めようとした矢先、王宮で国王をはじめとする王族8人が皇太子に殺害されるという大事件が勃発した...。
これ、2001年6月にネパール王宮で実際に起きたナラヤンヒティ王宮事件をベースに、太刀洗から取材を受けた軍人が殺害された事件を書くにあたって、太刀洗の苦悩を描いた作品。悲劇の記事を書くことによって読者に娯楽を提供する記者について、相当深く描かれていた。社会格差を通じて、自分達の倫理や価値観について考えさせられる。
この「王とサーカス」は以前読んだ「真実の10メートル手前」で描かれたフリージャーナリスト"太刀洗万智"の活動記録につながっていく。次は、10年前高校生だった"太刀洗万智"を描いた「さよなら妖精」も読んでみたい。
cf. 米澤穂信 読破 List
- 氷菓 (2001)
- 愚者のエンドロール (2002)
- ボトルネック (2006)
- インシテミル (2007)
- 儚い羊たちの祝宴 (2008)
- 追想五断章 (2009)
- 満願 (2014)
- 王とサーカス (2015)
- 真実の10メートル手前 (2015)
- 本と鍵の季節 (2018)
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