「アンジュと頭獅王/吉田修一」を読んだ
ずっと読んできてる吉田修一。今回は世田谷中央図書館で借りて読んでみた「アンジュと頭獅王」(小学館)について。
こんなあらすじ。奥州岩城の"判官正氏殿"が不心得者の奸計に堕ち、太宰府に流された。母"御台所"共々、伊達の郡に落ちのびた14歳の姉"アンジュ"と12歳の弟"頭獅王"は、父の冤罪を帝に訴えるために母や乳母と共に京をめざすが、越後・直江で人買いの山岡太夫にだまされ、2艘の船に分乗してしまう。親子は別々に売り飛ばされ、泣き暮れて盲目になった母は佐渡の鳥追いに、丹後・由良の港を仕切る山椒太夫に買われた姉と弟は汐汲みと柴刈りに、それぞれ身を落とすのだった...。
これ、童話「安寿と厨子王丸」や森鴎外の「山椒大夫」の元にもなった中世成立の説経節「さんせう太夫」を、あの吉田修一が現代語訳に初挑戦したもの。古語のため、難しく理解しづらいはずなのに、その言葉が案外スッと入ってくるのが不思議だったし、株譲渡とかデザイナーズマンションとか、昔と今が混ざった設定も面白かった。
慈悲の心の尊さを問う作品、思ってたほどよかったかも。
cf. 吉田修一 読破 List
- 最後の息子 (1999)
- 熱帯魚 (2001)
- パレード (2002)
- パーク・ライフ (2002)
- 日曜日たち (2003)
- 東京湾景 (2003)
- 長崎乱楽坂 (2004)
- ランドマーク (2004)
- 7月24日通り (2004)
- 春、バーニーズで (2004)
- ひなた (2006)
- 女たちは二度遊ぶ (2006)
- 初恋温泉 (2006)
- うりずん/吉田修一・佐内正史 (2007)
- 悪人 (2007)
- 静かな爆弾 (2008)
- さよなら渓谷 (2008)
- あの空の下で (2008)
- 元職員 (2008)
- キャンセルされた街の案内 (2009)
- 横道世之介 (2009)
- 空の冒険 (2010)
- 平成猿蟹合戦図 (2011)
- 太陽は動かない (2012)
- 路(ルウ) (2012)
- 愛に乱暴 (2013)
- 怒り (2014)
- 森は知っている (2015)
- 作家と一日 (2015)
- 橋を渡る (2016)
- 犯罪小説集 (2016)
- 最後に手にしたいもの (2017)
- 泣きたくなるような青空 (2017)
- ウォーターゲーム (2018)
- 国宝 上 青春篇 (2018)
- 国宝 下 花道篇 (2018)
- 続 横道世之介 (2019)
- 逃亡小説集 (2019)
- アンジュと頭獅王 (2019)
- 恋愛 コレクションII (2019)
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