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Friday, April 10, 2020

「歩道橋シネマ/恩田陸」を読んだ

Rikuonda_hodokyocinema_20200410054001 たまに読んでる恩田陸。世田谷中央図書館で借りて読んでみた「歩道橋シネマ」(新潮社)について。
 SFやホラーからちょっとしたミステリまで18編の話が収録されたこの短編集。それぞれこんなあらすじ。
 ・線路脇の家:
 電車の窓から見える古い洋館にまつわる物語。その家の窓辺には鳥籠がかかり、同じ部屋にいつも奇妙な3人の男女の姿があった...。
 ・球根:
 閉鎖的な学園を訪れる。ここで案内をかって出てくれた学生から球根の話を聞くが...。
 ・逍遥:
 ある教授がなくした懐中時計を友人三人がRRしながら探す。RRとはリモート・リアルの略で今で言うホログラフティが本物になってしまう技術のこと。でもその懐中時計は見つからない...。
 ・あまりりす:
 とある村で長岡森太郎という大学の教授が亡くなった。村の伝統的な祭りで事故に遭って死んだようだけど、祭りを知らない大学の門下生が村の人々に祭りについて尋ねるが、村の人々は詳細を語りたがらない...。
 ・コボレヒ:
 仕事仲間とハイキングに行ったとき、Aの歩き方がおかしいことに気づく。彼は木漏れ日を避けて日陰ばかりを歩いていた...。
 ・悪い春:
 「EPITAPH東京」のスピンオフ。リーマンショックなど潮目に語る内に、あってはいけない未来が浮かんでくる...。
 ・皇居前広場の回転:
 喧噪の日々に倦んでいる主人公、夜の会食のために移動しているタクシーの窓からなぜか回転している少年を見かける...。
 ・麦の海に浮かぶ檻:
 未読「麦の海に沈む果実」のスピンオフ。修道院だった建物の学校で、要と鼎はファミリーとしてタマラという少女を迎える...。
 ・風鈴:
 祖父の家の風鈴が不吉な出来事を知らせるという話を美容師から聞くが...。
 ・トワイライト:
 天岩戸伝説についての考察。
 ・惻隠:
 ワタクシは猫であります...。夏目漱石へのオマージュ。
 ・楽譜を売る男:
 4日間おこなわれた弦楽器のイベント会場で外国人青年が置物のように静かに座っているが、彼は楽譜を売っていた...。
 ・柊と太陽:
 秋田県、きりたんぽ、太陽の象徴、還暦祝い、悪面(あーめん)、三田(サンタ)、そして冬至祭へ。
 ・はつゆめ:
 YOKOHMA。O、O、A、Aと続く母音から情景が浮かんでくる...。
 ・降っても晴れても:
 雨の降っていない日でも水玉模様の傘をさして、同じルートを歩く男。いつものルートを外れた歩道でビルの工事現場の足場が崩れる事故に巻き込まれてしまう...。
 ・ありふれた事件:
 銀行で発生した立てこもり事件が、関係者の証言によって再現される。立てこもり犯が人質に向かって、「さあさあ、遊ぼうぜ、日が暮れるまで遊ぼう」と言い始めるが...。
 ・春の祭典
 幼なじみのバレエダンサーとの再会によって、才能の美しさと残酷さを浮かんでいく...。
 ・歩道橋シネマ:
 ビルの壁とトンネルの天井、大きな管。それぞれ離れて存在する4つの直線が、映画館のスクリーンのように見える場所があるという...。

 これ、恩田陸の最新が描かれた美しくて、恐ろしい話がつまってる。つまってるんだけど、なんとなく中途半端。やっぱり彼女の作品はどちらかという長編のほうが好きかもしれない。

cf. 恩田陸 読破 List
- 六番目の小夜子 (1992)
- 三月は深き紅の淵を (1997)
- 光の帝国 常野物語 (1997)
- 月の裏側 (2000)
- ネバーランド (2000)
- puzzle(パズル) (2000)
- ライオンハート (2000)
- ドミノ (2001)
- 図書館の海 (2002)
- ねじの回転-February Moment (2002)
- 蛇行する川のほとり (2004)
- Q&A (2004)
- 夜のピクニック (2004)
- ユージニア (2005)
- 蒲公英草紙 常野物語 (2005)
- エンド・ゲーム 常野物語 (2006)
- 朝日のようにさわやかに (2007)
- 木漏れ日に泳ぐ魚 (2007)
- きのうの世界 (2008)
- 私の家では何も起こらない (2010)
- 私と踊って (2012)
- EPITAPH東京 (2015)
- 消滅 VANISHING POINT (2015)
-
 蜜蜂と遠雷 (2016)
- 歩道橋シネマ (2019)

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