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Tuesday, July 14, 2020

「祝祭と予感/恩田陸」を読んだ

Rikuonda_shukusaitoyoyaku たまに読んでる恩田陸。世田谷中央図書館で借りて読んでみた「祝祭と予感」(幻冬舎)について。
 これ、以前読んだ「蜜蜂と遠雷」スピンオフ短編小説集。それぞれこんなあらすじ。
 ・「祝祭と掃苔」:
 芳ヶ江国際ピアノコンクール終了後、入賞者ツアーのパリに向かう前、"栄伝亜夜"と"マサル"と2人になぜかついてきた"風間塵"は、雑司ヶ谷の霊園に眠る恩師"綿貫先生"のお墓参りに訪れる...。ちなみに掃苔(そうたい)とは、お墓の苔を綺麗に取り去ることを意味し、転じてお墓参りを意味する。
 ・「獅子と芍薬」:
 芳ヶ江国際ピアノコンクールの審査員"ナサニエル"と"三枝子"、2人は17,18歳の頃に出会ったコンクールで、その時優勝に値する1位はおらず、2人は2位だった。2人はどちらも1位になれたら弟子にしてもらうとホフマンに約束していたが、そのチャンスを逃し、悔しさに周囲を気にせず涙を流す。それから2人は結婚と離婚を繰り返し、30年後に再会する...。
 ・「袈裟と鞦韆」:
 作曲家"菱沼忠明"が課題曲「春と修羅」を作るきっかけとなった物語。菱沼がかつて作曲の指導をした学生の中で"小山内健次"は特別だった。健次の実家は岩手でホップ農家をやっていて、頭の中でイメージした音を楽譜に落とし込めないことを悩んでいた...。
 ・「竪琴と葦笛」:
 中学生の"マサル"はあるオーディションに参加し、そこで審査員だった"ナサニエル"と出会う。この後、マサルは"ミハルコフスキー"の指導を受けるようになるが、どこか違和感があった。そんな時、ナサニエルはマサルをジャズクラブに連れて行き、そこでマサルの知らない音楽を聞かせ、ピアノ以外の楽器もやってみるよう勧める...。
 ・「鈴蘭と階段」:
 ヴィオラに転向した"奏"はパートナーとなるヴィオラを決めかねていた。迷った末3つのヴィオラから1つ、自分に合うものを決めようとするが、パリにいる"亜夜"から電話がかかり、とあるヴィオラ奏者の家で奏のヴィオラを見つけたと言い出す...。
 ・「伝説と予感」:
 ホフマンが友人の家に泊っていると、調律されておらず音を鳴らすのも難しいピアノを誰かが弾く音が聞こえる。その聴こえてきたのはホフマンが昨夜弾いた曲で、伴奏者は彼の演奏を聴いてそれを再現しているようだ。ホフマンが慌てて見に行くと、そこには小さな男の子がいた...。

 養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年"風間塵"、かつてのピアノの天才少女"栄伝亜夜"、名門ジュリアード音楽院の19歳の天才奏者"マサル・C・レヴィ=アナトール"、そして彼らの指導者達の知らなかった過去や秘密が描かれている。「蜜蜂と遠雷」の世界を広める1冊だった。

cf. 恩田陸 読破 List
- 六番目の小夜子 (1992)
- 三月は深き紅の淵を (1997)
- 光の帝国 常野物語 (1997)
- 月の裏側 (2000)
- ネバーランド (2000)
- puzzle(パズル) (2000)
- ライオンハート (2000)
- ドミノ (2001)
- 図書館の海 (2002)
- ねじの回転-February Moment (2002)
- 蛇行する川のほとり (2004)
- Q&A (2004)
- 夜のピクニック (2004)
- ユージニア (2005)
- 蒲公英草紙 常野物語 (2005)
- エンド・ゲーム 常野物語 (2006)
- 朝日のようにさわやかに (2007)
- 木漏れ日に泳ぐ魚 (2007)
- きのうの世界 (2008)
- 私の家では何も起こらない (2010)
- 私と踊って (2012)
- EPITAPH東京 (2015)
- 消滅 VANISHING POINT (2015)
-
 蜜蜂と遠雷 (2016)
- 祝祭と予感 (2019)
歩道橋シネマ (2019)

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