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Wednesday, July 08, 2020

「美しき愚かものたちのタブロー/原田マハ」を読んだ

Mahaharada_utsukushikiorokamono ちょいちょい読んでる原田マハ。世田谷区中央図書館で借りて読んでみた「美しき愚かものたちのタブロー」(文藝春秋)について。
 こんなあらすじ。第2次世界大戦前、日本人のほとんどが本物の西洋絵画を見たことのない時代に、ロンドンとパリで絵画を買い集めた実業家"松方幸次郎"。そもそも美術の審美眼を持ち合わせていない松方だったが、絵画収集の道先案内人となった美術史家の卵"田代雄一郎"との出会い、モネと親交し、ゴッホ、ピカソ、ロダンやルノアールといった近代美術の数々の傑作タブローによって美に目覚めてい。しかし、戦争へと突き進む日本国内では経済が悪化し、破産の憂き目にさらされた松方に代わり、ナチの戦火が迫るフランスに残り、絵画コレクションを守り抜いたのは、松方の右腕手で元軍人パイロットの"日置釭三郎"だった。戦争が終わり、講和を進める首相"吉田茂"の元にコレクション返還の可能性が伝わった...。
 「最高の絵を見せてやりたい...モネを口説いた男の夢」。日本に美術館を創りたいという夢のために生涯を懸けた男、戦時下のフランスで絵画コレクションを守り抜いた孤独な男、敗戦国である日本に美術とプライドを取り戻した男達...そん男達の奇跡によって、上野の国立西洋美術館が誕生した秘話を描いた小説がこれ。実話をもとににしたノンフィクションなんだけど、男達の純粋な理想と熱意と不屈の信念が凄まじい。フランスとの白熱の返還交渉、愛する妻をいたわりながらナチからタブローを守るシーン、そして返還の許可を与えたフランス...あの国立西洋美術館にこんな壮絶な歴史があったとは。いやーほんと読み応えありました。

cf. 原田マハ 読破 List
- カフーを待ちわびて (2006)
- 一分間だけ (2007)
- ランウェイ☆ビート (2008)
- さいはての彼女 (2008)
- キネマの神様 (2008)
- 花々 (2009)
- 翼をください (2009)
- 本日は、お日柄もよく (2010)
- 星がひとつほしいとの祈り (2010)
- 風のマジム (2010)
-
まぐだら屋のマリア (2011)
- 永遠をさがしに (2011)
- いと-運命の子犬-/原田マハ(文)・秋元良平(写真) (2011)
- 小説 星守る犬/原田マハ(著)・村上たかし(原作) (2011)
- 楽園のカンヴァス (2012)
- 旅宿おかえり (2012)
- 生きるぼくら (2012)
- いつも一緒に -犬と作家のものがたり-/新潮文庫編集部(編)・檀ふみ・小路幸也・遠藤周作・角野栄子・伊丹十三・鷺沢萠・伊集院静・江國香織・幸田文・久世光彦・小川洋子・佐藤愛子・糸井重里・原田マハ・島尾敏雄・馳星周・小澤征良・山崎豊子・唯川恵(2013)
- ジヴェルニーの食卓 (2013)
- 総理の夫 First Gentleman (2013)
- 翔ぶ少女 (2014)
- 太陽の棘 (2014)
- 奇跡の人 The Miracle Worker (2014)
- あなたは、誰かの大切な人 (2014)
- 異邦人(いりびと) (2015)
- モダン (2015)
- ロマンシエ (2015)
-
暗幕のゲルニカ (2016)
- デトロイト美術館の奇跡 DIA:A Portrail of Life (2016)
- リーチ先生 (2016)
- 恋愛仮免中/奥田英朗・窪美澄・荻原浩・原田マハ・中江有里 (2017)
- アノニム (2017)
- たゆたえども沈まず (2017)
- いちまいの絵 生きているうちに見るべき名画 (2017)
- スイート・ホーム (2018)
- フーテンのマハ (2018)
- 常設展示室 Permanent Collection (2018)

- 美しき愚かものたちのタブロー (2019)

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