「アンダークラス/相場英雄」を読んだ
こんなあらすじ。秋田県能代市で、老人施設入居者85歳の死体が近隣の水路から発見され、容疑者として浮上したのは、施設で働くベトナム人"アイン"であった。外国人技能実習生のアインは、神戸の縫製工場で働きながら、僅かな収入を母国の家族へ送金する日々を送っていたが、劣悪な労働条件に耐えかねて失踪し、秋田にたどり着いた。アインは重篤なガンを患っていた入居者に請われ、自殺を幇助したとの自供を始める。これで解決かと捜査官らは安堵したが、捜査に加わった警視庁継続捜査班の"田川"は、死体の「手」に疑いを抱いた。そして、流通業界の覇者として君臨する世界的IT企業サバンナが捜査線上にあがった...。
これ、「震える牛」(2012)、「ガラパゴス」(2016)と続く課継続捜査班"田川信一シリーズ"の第3弾。日本が抱える外国人労働者の増加、貧富の格差拡大、世界的プラットフォーム企業の下請け企業の搾取などが生み出す「下層=アンダークラス」について書かれていて、ミステリー色よりも社会派小説になっている。ネット販売の前に廃れてゆく店舗、世界的IT企業がもたらした便利さの裏で搾取される下請企業や労働者の存在など、あらためて現代社会の抱える根深い問題が洗い出されていた。ほんと読み応えありました。
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