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Wednesday, September 22, 2021

「緊急事態下の物語/金原ひとみ・真藤順丈・東山彰良・尾崎世界観・瀬戸夏子」を読んだ

Seikaikanozaki_kinkyujitaikano 尾崎世界観の新作を読んでみたくて、世田谷中央図書館で借りてみた「緊急事態下の物語/金原ひとみ・真藤順丈・東山彰良・尾崎世界観・瀬戸夏子」(河出書房新社)について。
 濃厚接触、反ユートピア、ゾンビと猫、ライブカメラ、臆病なテロリスト...2020→20XXへのコロナ禍の中、緊急事態宣言、まん延防止措置が発令され、まさにパンデミックのど真ん中で5人の作家達が描いた5つのパンデミック小説がこれ。それぞれこんな話。
 ・「腹を空かせた勇者ども」金原ひとみ:
 コロナ禍の新たな日常を送る中学生"玲奈"のもとに、ある日突然おとずれた「濃厚接触」の知らせが届く...。
 ・「オキシジェン」真藤順丈:
 顔の見えない"ジェントルマン"の声に従い、反ユートピアの物語を紡ぐ選ばれた男女たち。彼らが脱ディストピアの叛乱をくわだてる...。
 ・「天国という名の猫を探して悪魔と出会う話」東山彰良:
 死者は活発に人肉を求め、生者が死んだように隠れて暮らす世界でぼくは、殺された叔母の飼い猫"ラニ"を探す旅に出た...。
 ・「ただしみ」尾崎世界観:
 TVやネットの虚構を嫌い、ただ街を映すだけのライブカメラ視聴者は、嘘のない「正しい」世界をそこに求めていた...。
 ・「MINE」瀬戸夏子:
 感染症を世界へ巻き散らすことを計画する組織<臆病なテロリスト、臆病な殺人者>で、ウイルス兵器になることを志願した"ユミ"は、組織に集められホテルで究極の人工美を備えた女"アイラ"と出会った...。
 
 個人的にはひっかかったのは尾崎世界観の「ただしみ」。秋葉原の交差点など都会に設置された定点ライブカメラの中に映し出される変哲のない日常シーン。そんなつまらないものに釘付けになった人々に、今のつまらない生活をなんとかやり過ごしてる自分がいるようだった。なんか今だから響く本だった。
 
cf. 金原ひとみ 読破 List
 
cf. 真藤順丈 読破 List
 

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