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Tuesday, January 04, 2022

2021年を振り返る●Readings編●

 2021年を振り返る。続いては読書について。

 2021年もほぼ在宅勤務で通勤時間がなく、本を読む時間が少なかった。2020年は69冊を1年間で読んだけど、2021年は54冊で、小説が46冊、それ以外が8冊と毎年減ってる。では2021年に読んだ本の中で、個人的に特にひっかかった5冊を挙げてみる。

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 まず1冊目はいまから10年前の2010年に刊行された高嶋哲夫の「首都感染」。「不要不急」「感染爆発」「濃厚接触」「接触感染」「飛沫感染」「PCR検査」などといった、まさに今ひんぱんに使われている言葉が出てきて、当時あまり始まっていなかった「テレワーク」「自粛警察」は無かったけど、現実とリンクするところがあまりに多くあって驚いたしまった。 確かにコロナ禍の中での「予言の書」だった。

 続いて2冊目は相場英雄の「アンダークラス」。日本が抱える外国人労働者の増加、貧富の格差拡大、世界的プラットフォーム企業の下請け企業の搾取などが生み出す「下層=アンダークラス」について書かれていて、ミステリー色よりも社会派小説になっている。ネット販売の前に廃れてゆく店舗、世界的IT企業がもたらした便利さの裏で搾取される下請企業や労働者の存在など、あらためて現代社会の抱える根深い問題が洗い出されていた。読み応えありました。

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 3冊目、奥田英朗の5つの短編集コロナと潜水服」。どの主人公達も非日常的で不思議な体験を通して、心の変化を迎えていくんだけど、読んでるこっちまでその温かさが伝わってくるのがいい。で、特によかったのは最後の「パンダに乗って」。いやーじんわり泣けてしまった。シリアスな作品もいいけど、奥田英朗のファンタジック作品もやっぱりよかった。
 そして4冊目は映画「Fukushima 50(フクシマフィフティ)」(2020)の原作、門田隆将のノンフィクション作品「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」。福島第一原子力発電所の所長だった吉田昌郎を初め、菅直人総理大臣、発電所で死を覚悟した所員たち、自衛隊隊員、亡くなった若き所員の家族など、膨大な関係者へのインタビューに基づくノンフィクション。あの現場にいた人々に何が起き、何を思い、どう闘ったが記録されている。
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 最後5冊目は百田尚樹の「野良犬の値段」。これ、6人のホームレスが誘拐され、自分たちとは無関係な人間の身代金を払うはずのないテレビ局や新聞社がじわじわと追い詰められていく様を描いた劇場型犯罪ミステリー。日本社会に命の価値を問いかけながら、警察、メディア、ネットの住民達が翻弄されていく事態がたまらなくて、イッキに読んでしまった。見ず知らずのホームレスを助けるために身代金を払うのかによって、愛は世界を救うという人達の欺瞞が暴かれていく。面白かったです。

 というわけで最後に、2021年に読んだ小説とか雑誌とかを書いてみます。

●Novels
・Star Wars:The Last Command:スター・ウォーズ:最後の指令 上/Timothy Zahn:ティモシイ・ザーン
・Star Wars:The Last Command:スター・ウォーズ:最後の指令 下/Timothy Zahn:ティモシイ・ザーン
・首都感染/高嶋哲夫
・高校事変IX/松岡圭祐
・イニシエーション・ラブ/乾くるみ
・豆の上で眠る/湊かなえ
・ハグとナガラ/原田マハ
・もう、聞こえない/誉田哲也
・<あの絵>のまえで/原田マハ
・ユニコーン ジョルジュ・サンドの遺言/原田マハ
・20 CONTACTS 消えない星々との短い接触/原田マハ
・まほろ駅前番外地/三浦しをん
・クランクイン/相場英雄
・ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人/東野圭吾
・カケラ/湊かなえ
・アンダークラス/相場英雄
・母影/尾崎世界観
・高校事変X/松岡圭祐
・Exit イグジット/相場英雄
・図書館で暮らしたい/辻村深月
・ギフト/原田マハ
・湖の女たち/吉田修一
・リピート/乾くるみ
・背中の蜘蛛/誉田哲也
・一人称単数/村上春樹
・キネマの神様 ディレクターズ・カット/原田マハ
・コロナと潜水服/奥田英朗
・双子の悪魔/相場英雄
・海辺のカフカ 上/村上春樹
・海辺のカフカ 下/村上春樹
・レッドネック/相場英雄
・鳴かずのカッコウ/手嶋龍一
・カード師/中村文則
・死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発/門田隆将
・緊急事態下の物語/金原ひとみ・真藤順丈・東山彰良・尾崎世界観・瀬戸夏子
・モネのあしあと/原田マハ
・真相/横山秀夫
・リボルバー/原田マハ
・嵐山光三郎セレクション 安西水丸短篇集 左上の海/安西水丸
・インドラネット/桐野夏生
・野良犬の値段/百田尚樹
・クスノキの番人/東野圭吾
・ブランド/吉田修一
・ドキュメント/湊かなえ
・アフター・サイレンス/本多孝好
・EV イブ/高嶋哲夫

●Magazines・Comics・Pamphlet
・代官山通信 Vol.153
・ザ・東京銭湯/町田忍
・銭湯図解/塩谷歩波
・代官山通信 Vol.154
・わたしは銭湯ペンキ絵師/田中みずき
・代官山通信 Vol.155
・「映画;フィッシュマンズ」パンフレット

 2022年もぼちぼち世田谷中央図書館に通って、いろいろ感じたり学んだりできればと思います。

cf.
2007年を振り返る●Readings編●
2008年を振り返る●Readings編●
2009年を振り返る●Readings編●
2010年を振り返る●Readings編●
2011年を振り返る●Readings編●
2012年を振り返る●Readings編●
2013年を振り返る●Readings編●
2014年を振り返る●Readings編●
2015年を振り返る●Readings編●
2016年を振り返る●Readings編●
2017年を振り返る●Readings編●
2018年を振り返る●Readings編●
- 2019年を振り返る●Readings編●
2020年を振り返る●Readings編●
2021年を振り返る●Readings編●

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