「オムニバス/誉田哲也」を読んだ
ひさしぶりの誉田哲也、世田谷中央図書館で借りて読んだ「オムニバス」(双葉社)について。
「姫川玲子シリーズ」の最新刊で、7つの短編が収録されている。それぞれこんなあらすじ。
●「それが嫌なら無人島」:
青戸三丁目のマンションで女子大生が殺された。被疑者とされた男が別件で本所署に勾留されていたため、葛飾署の特捜本部に入っていた姫川玲子はじりじりしていた。ようやく本所署から解放された被疑者だが、あやふやな供述で否認をくりかえす...。
●「六法全書」:
五日市署管内で自死した男の家から女性の腐乱死体が発見され、姫川班の刑事達は特捜に入る。姫川班の巡査部長"中松信哉"は、所轄の若い姫川玲子とのコンビに苦手意識を感じながら、彼女の一足飛びの発想と迷いのない行動力をあらためて目の当たりにする...。
●「正しいストーカー殺人」:
ストーカーが、ストーキングしていた女性に殺された。姫川玲子達は、身の上もストーカーとの関係もほとんど語ろうとしない被疑者の正体と、殺害にいたるまでの?末を突き止めていく。彼女は本当にストーキングされていたのか...。
●「赤い靴」:
男を殺したと若い女が自首してきた。彼女の自宅には確かに男の死体があったが、死因は女の供述とは食い違っている。取調べを担当した姫川玲子とベテラン女性刑事"日野利美"は、現場から押収したパソコンに入っていた大量の小説のようなテキストデータを手分けして読む。姫川は、彼女が「殺ってる」と言い切るが、日野は確信が持てないでいた...。
●「青い腕」:
男を殺したと自首してきた若い女、自称"ケイコ"は、身の上については一向に語ろうとしなかった。死んだ男とケイコはどのような関係だったのか。姫川玲子とベテラン女性刑事"日野利美"は、身元が明らかになった男の母親を訪ね、心当たりがないか再度確認することになった...。
●「根腐れ」:
覚醒剤所持で自首してきた売れっ子女性モデルの取調べを頼まれた。取調べでは俳優の仕事にも進出した被疑者の出演作の批評を続ける玲子だが、これで事件の真相は明らかになるのか...。
●「それって読唇術?」:
姫川玲子は東京地検の"武見諒太"に行きつけのバーに呼び出された。多少酔いが回ってきた玲子は、遅れてやってきた武見に、「一番耐えられないことってなんですか」と問いかける...。
この7つの短編、いつもよりもエログロは少ないけれど、姫川玲子の持つ洞察力や観察力に基づく筋読みが鋭く、イッキに突破していく様がいい。最後にあの"魚住久江"が姫川班にやってくるというサプライズもあったし、これからも「姫川玲子シリーズ」は読み続ける。
cf. 誉田哲也 読破 List
- 妖の華 (2003)
- アクセス (2004)
- 吉原暗黒譚 (2004)
- 春を嫌いになった理由 (2005)
- 疾風ガール (2005)
- ジウI 警視庁特殊犯捜査係 (2005)
- ストロベリーナイト (2006)
- ジウII 警視庁特殊急襲部隊 (2006)
- ジウIII 新世界秩序 (2006)
- 月光 (2006)
- ソウルケイジ (2007)
- 武士道シックスティーン (2007)
- 国境事変 (2007)
- シンメトリー (2008)
- 武士道セブンティーン (2008)
- ヒトリシズカ (2008)
- ガール・ミーツ・ガール (2009)
- 武士道エイティーン (2009)
- ハング (2009)
- インビジブルレイン (2009)
- 主よ、永遠の休息を (2010)
- 世界でいちばん長い写真 (2010)
- 歌舞伎町セブン (2010)
- 感染遊戯 (2011)
- レイジ (2011)
- ドルチェ (2011)
- あなたの本 (2012)
- 誉田哲也 All Works/誉田哲也(監修) (2012)
- 痛み/貫井徳郎・福田和代・誉田哲也 (2012)
- あなたが愛した記憶 (2012)
- 幸せの条件 (2012)
- ブルーマーダー (2012)
- ドンナ ビアンカ (2013)
- 増山超能力師事務所 (2013)
- Qrosの女 (2013)
- ケモノの城 (2014)
- 黒い羽 (2014)
- 歌舞伎町ダムド (2014)
- インデックス (2014)
- 武士道ジェネレーション (2015)
- プラージュ (2015)
- 硝子の太陽N-ノワール (2016)
- 硝子の太陽R-ルージュ (2016)
- 増山超能力師大戦争 (2017)
- ノーマンズランド (2017)
- あの夏、二人のルカ (2018)
- ボーダレス (2018)
- 背中の蜘蛛 (2019)
- 妖の掟 (2020)
- もう、聞こえない (2020)
- オムニバス (2021)
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