「可燃物/米澤穂信」を読んだ
たまに読んでいる米澤穂信。茅ケ崎図書館で借りて読んでみた「可燃物」(文藝春秋)について。
これ、米澤穂信初の警察ミステリー。5つの話からなる短編集。それぞれこんなあらすじ。
●「崖の下」:
遭難の一報が入った現場のスキー場に捜査員が赴くと、そこには頸動脈を刺され失血死した男性の遺体があった。犯人は一緒に遭難していた男とほぼ特定できるが、凶器が見つからない。犯人は何を使って刺殺したのか?
●「ねむけ」:
ワゴン車が軽自動車と交通事故を起こした。現場は深夜の交差点で、聞き込みの結果、ワゴン車の運転手が信号無視をしたという目撃情報が集まる。しかし、複数の情報が不自然に一致していることに違和感を感じる...。
●「命の恩」:
榛名山麓のきすげ回廊で右上腕が発見された。さらにバラバラに切断され身体部位が発見され、遺体遺棄事件へとつながっていく。単に遺体を隠すためなら、遊歩道から見える位置に右上腕を捨てるはずはない。なぜ犯人は死体を切り刻んだのか?
●「可燃物」:
太田市の住宅街で連続放火事件が発生した。捜査が始まるも容疑者を絞り込めないうちに、犯行がぴたりと止まってしまう。犯行の動機は? なぜ放火は止まったのか?
●「本物か」:
郊外のファミレスで立てこもり事件が発生した。立てこもり犯は前科がある男だった。店内から避難した客と店員に事情聴取をするが、それぞれの証言がどこかかみ合わない...。
これ、群馬県警を舞台に、余計なことは喋らず、上司から疎まれ、部下にもよく思われていない葛警部を主人公にした警察ミステリー。違和感を感じながらつきつめていく卓越した捜査能力が凄い。なかなか面白かった。
cf. 米澤穂信 読破 List
- 氷菓 (2001)
- 愚者のエンドロール (2002)
- ボトルネック (2006)
- インシテミル (2007)
- 儚い羊たちの祝宴 (2008)
- 追想五断章 (2009)
- 満願 (2014)
- 王とサーカス (2015)
- 真実の10メートル手前 (2015)
- 本と鍵の季節 (2018)
- 可燃物 (2023)
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