「街とその不確かな壁/村上春樹」を読んだ
ひさしぶりの村上春樹、茅ヶ崎図書館で借りた「街とその不確かな壁」(新潮社)について。
こんなあらすじ。17歳のぼくと16歳のきみ、夏の夕暮れ、川面を風が静かに吹き抜けていく。きみのの細い指はぼくの指に何かをこっそり語りかける。高い壁と望楼、図書館の暗闇、古い夢、そしてきみの面影。自分の居場所はいったいどこにあるのだろう...。
これ、すぐ近くに存在する異界を描いたもの。「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」(1985)の静謐で閉じた世界だけど、作者が生きてきた時の長さを経た深みが濃くなっている。影を持たない壁の内側の世界には時間がなく、みなが役割を持ち、穏やかにすごしている。壁の外の世界が真実なのか、虚構なのがわからくなってくる。読んでいて、先が読めないことがたまらなかった。堪能です。
cf. 村上春樹 読破 List
- 風の歌を聴け (1979)
- 中国行きのスロウ・ボート (1980)
- カンガルー日和 (1981)
- 象工場のハッピーエンド/村上春樹・安西水丸 (1983)
- 蛍・納屋を焼く・その他の短編 (1984)
- 回転木馬のデッド・ヒート (1985)
- 羊男のクリスマス/村上春樹・佐々木マキ (1985)
- パン屋再襲撃 (1986)
- レキシントンの幽霊 (1986)
- ランゲルハンス島の午後/村上春樹・安西水丸 (1986)
- ノルウェイの森 (1987)
- ダンス・ダンス・ダンス (1988)
- TVピープル (1990)
- 雨天炎天-ギリシャ・トルコ辺境紀行- (1990)
- やがて哀しき外国語 (1994)
- もし僕らのことばがウィスキーであったなら (1997)
- ふわふわ/村上春樹・安西水丸 (1998)
- Mr.and Mrs.Baby and Other Stories-犬の人生/Mark Strand-マーク・ストランド(1998)
- 神の子供たちはみな踊る (1999-2000)
- 海辺のカフカ (2002)
- 海辺のカフカ (2002) #2
- アフターダーク (2004)
- 東京奇譚集 (2005)
- ふしぎな図書館/村上春樹・佐々木マキ (2005)
- 走ることについて語るときに僕の語ること (2007)
- うずまき猫のみつけかた <新装版> (2008)
- 1Q84 BOOK1 <4月-6月> (2009)
- 1Q84 BOOK2 <7月-9月> (2009)
- 1Q84 BOOK3 <10月-12月> (2010)
- ねむり (2010)
- 夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集 1997-2009(2010)
- 村上春樹 雑文集 (2011)
- 1Q84 BOOK1 <4月-6月> 前編(文庫) (2012)
- 1Q84 BOOK1 <4月-6月> 後編(文庫) (2012)
- 1Q84 BOOK2 <7月-9月> 前編(文庫) (2012)
- 1Q84 BOOK2 <7月-9月> 後編(文庫) (2012)
- 1Q84 BOOK3 <10月-12月> 前編(文庫) (2012)
- 1Q84 BOOK3 <10月-12月> 後編(文庫) (2012)
- おおきなかぶ、むずかしいアボカド 村上ラヂオ2/村上春樹・大橋歩 (2011)
- サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3/村上春樹・大橋歩 (2012)
- 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 (2013)
- 恋しくて-TEN SELECTED LOVE STORIES-/村上春樹(編訳) (2013)
- 女のいない男たち (2014)
- 村上さんのところ/村上春樹・フジモトマサル (2015)
- 職業としての小説家 (2015)
- ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集 (2015)
- 騎士団長殺し -第1部 顕れるイデア編- (2017)
- 騎士団長殺し -第2部 遷ろうメタファー編- (2017)
- バースデイ・ガール (2017)
- 猫を棄てる -父親について語るとき- (2020)
- 村上T 僕の愛したTシャツたち (2020)
- 一人称単数 (2020)
- 街とその不確かな壁 (2023)
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