「海を見ていたジョニー/五木寛之」を読んだ
図書館でなんとなく手に取った五木寛之の「海を見ていたジョニー」(講談社文庫)について。
これ、1966年にデビューした五木寛之が発表した短編集、それぞれこんなあらすじ。
●「海を見ていたジョニー」:
姉の"由紀"は、"少年"とともに、海辺の基地の町でピアノのあるバーを経営していた。少年の楽しみは閉店後に、海岸で出会った黒人兵"ジョニー"、ベース弾きの"健ちゃん"の3人で、ジャズを演奏することだった。だが、何ヵ月かしてジョニーは突然姿を消す。そして、10ヵ月ぶりに現れたジョニーはすっかり人が変わっていた。人を殺した自分にジャズは演奏できないという...。
●「素敵な脅迫者の肖像」:
"私"は、ある日突然、見知らぬ美女から奇妙な恐喝を受ける。”私"には全く身に覚えのない過去の弱みを握られ、法外な金銭を要求されるた。しかし、その女性のあまり上品で洗練された「脅迫者」としての佇まいに、次第に魅了されていく...。
●「盗作狩り」:
売れない貧乏作家のもとに、ある高名な大御所作家が発表した新作が、自分が昔書いた未発表の原稿とそっくりだという情報が舞い込みます。作家は真相を暴き、大物作家を追い詰めようと「盗作狩り」を始める...。
●「CM稼業」:
時代の寵児としてヒットCMを連発し、大金と名声を動かす売れっ子プロデューサー。華やかな業界の表舞台とは裏腹に、視聴者を洗脳するような仕掛け、企業の利権、そして「消費される芸術」に対する虚しさに気づく...。
●「私刑(リンチ)の夏」:
アメリカから帰国したばかりのチンピラの"サブ"は、親分の娘を連れて気ままな逃避行を続けていた。ある日、立ち寄った寂れた温泉街で地元の凶暴なボスである大河原とトラブルになり、大河原の容赦ない追手から逃れるため、サブは車を飛ばす...。
この短編集、やっぱり表題の「海を見ていたジョニー」がいい。ベトナム戦争を経験したジョニーは、ジャズは「人間の音楽」であり、ジャズを愛することは人間を愛することだと考えてきたが、罪のない人を殺してしまった自分には、もはやジャズを演奏する資格がないと感じる。なんか心に残る短編だった。
cf. 五木寛之 読破 List
- 海を見ていたジョニー (1967)
- 雨の日には車をみがいて (1988)
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