Saturday, May 27, 2023

「東京大洪水/高嶋哲夫」を読んだ

Tetsuotakashima_tokyodaikozui ひさしぶりの高嶋哲夫作品、「東京大洪水」(集英社文庫)について。
 こんなあらすじ。大型台風23号が日本列島に接近するが、気象庁は東京上陸はないとの発表する。しかし、日本防災研究センターの"玉城"はコンピュータシミュレーションで、新たに生まれた24号と23号が合体し、未曾有の巨大台風となって首都圏を直撃することを予知する。玉城は、要請により荒川防災の現場に入り、妻の"恵子"は設計担当者として荒川に建設中の超高層マンションに向かう...。
 空前の双子台風が東京を直撃するというディザスター小説。東京水没の危機を描いていくんだけど、荒川や隅田川が氾濫していくところはほんと手に汗握る感じ。毎年、過去に類を見ないゲリラ豪雨や異常気象が報道されるし、湘南に移住してから、台風による河川決壊も地震による津波もやっぱり気になるもの。災害への心構えとしてこの本を読んでおくのはいいと思います。

cf. 高嶋哲夫 読破 List
首都感染 (2010)
- 東京大洪水 (2010)
富士山噴火 (2015)
日本核武装 (2016)
ハリケーン (2018)
紅い砂 The Wall (2020)
バクテリア・ハザード (2020) * ペトロバグ(2007 改題/再編集)
EV イブ (2021)

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Friday, May 05, 2023

「湯あがりみたいに、ホッとして/塩谷歩波」を読んだ

Honamienya_yuagariho あの「銭湯図解」の作者で、"元"番頭兼イラストレーターの塩谷歩波。彼女のエッセイ集「湯あがりみたいに、ホッとして」(双葉社)について。
 激務のあまり建築事務所を休職し、自身を失った彼女の心を癒やしてくれたのが銭湯だった。自分もコロナや窮屈なテレワークや仕事でツラかったときとか、おんなじように銭湯に救われたひとり。そんな銭湯がきっかけで、少しずつ自分の居場所を作っていくんだけど、このエッセイではその気持ちみたいなものが伝わってくる。ドラマ「湯あがりスケッチ」でも映画「湯道」でも彼女がモチーフになっていて、なんか引き込まれるんだと思う。
 それにしても「銭湯図解」、浴槽の高さや深さやシャワーやカランの位置まで実測し、細部を何枚も写真に撮り、建築の図法であるアイソメトリック手法を用い、それを組み立てて、スケッチし、水彩画で描いている。このことも書かれていて、大変な作業だけど楽しく描いていることがいいです。いいエッセイだった。

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Sunday, April 30, 2023

「日本文化POP&ROCK/セバスチャン高木と和樂web編集部」を読んだ

Nihonbunkapoprock Kmt君に借りて読んでみた「日本文化POP&ROCK/セバスチャン高木と和樂web編集部」(笠間書院)について。
 これ、浮世絵、近松門左衛門と歌舞伎、芭蕉の俳句、茶の湯、源氏物語、そして幕末を取り上げ、そこにある堅苦しい日本文化を現代のドラマや音楽などに意訳しまくった教養書。たとえば茶の湯の作った千利休をジミヘンにたとえ、光源氏を出世と恋愛ゲームとして解説している。
 個人的に面白かったのは幕末の章。尊王攘夷、公武合体、廃藩置県、新選組と長州危機などの意図と背景と面白おかしく教えてくれる。ただこれの本がほんとにそうなのか、ちょっと胡散臭い。胡散臭いから気軽に楽める。そんな1冊だった。

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Monday, April 10, 2023

「高校事変XII/松岡圭祐」を読んだ

Keisukematsuoka_kokoujihen12 松岡圭祐の「高校事変」シリーズ、とうとうたどり着いた最終刊の第12弾「高校事変XII」(角川文庫)について。
 こんなあらすじ。長女の智沙子、次男の篤士、四女の凛香と共に長男の優莉架祷斗に立ち向かう優莉結衣。架祷斗が代表をつとめるシビック政権が発足し日本が大混乱に陥る中、過去に結衣と関わった者たちが反旗を翻すべく、森本学園で「同窓会」を開く...。
 テロリストの父親の教育を受けた高2の少女"優莉結衣"が、秩序再編をもくろむ半グレ組織や公安警察に戦いを挑むバイオレンスアクション小説の最終第12弾。終盤の森本学園に艦隊が押し寄せてくるあたりからのスケールがデカいノンストップなアクションシーンはなかなかのカタルシスだった。それにしても、最後の第12刊までブレないシナリオは、素直に筆者の構成能力の高さだと思う。第13弾あるのかも気になるところだけど、読了できて満足です。

cf. 松岡圭祐 読破 List
黄砂の籠城 (2017)
黄砂の進撃 (2018)
高校事変 (2019)
高校事変II (2019)
高校事変III (2019)
高校事変IV (2019)
高校事変V (2020)
高校事変VI (2020)
高校事変VII (2020)
高校事変VIII (2020)
高校事変IX (2020)
高校事変X (2021)
高校事変XI (2021)
- 高校事変XII (2022)

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Saturday, April 08, 2023

「湯道」パンフレットを読んだ

Yudophanf 先日観た銭湯の映画「湯道」(2023)を。そのパンフについて。
 映画を観てからあらためてこのパンフを読んだんだけど、さらに深くこの映画を楽しめるものになってる。キャストに加え、鈴木雅之(監督)と小山薫堂(企画/脚本/"湯道"の家元)のインタビューが載っている。
 で、やっぱりこの映画のよさは凝りまくった銭湯の美術。映画の舞台である「まるきん温泉」、湯船が洗い場の真ん中にある関西スタイルに、関東の富士山ペンキ絵、ひとつひとつの掲示ポスター、下駄箱からボイラー室までリアリティーが凄すぎる。さらに、パンフのとじ込みに塩谷歩波による「図解"まるきん温泉"」があって、これはうれしい。
 この映画、銭湯みたいに気持ちがほっこり暖まって、ちょっと泣けたけど、一番好きなシーンは、天童よしみとクリス・ハートによる「上を向いて歩こう」。これは泣けたです。またいつか観たい映画です。

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Wednesday, January 25, 2023

「高校事変XI/松岡圭祐」を読んだ

Keisukematsuoka_kokoujihen11 松岡圭祐の「高校事変」シリーズ、ひさしぶりに読んだ第11弾「高校事変XI」(角川文庫)について。
 こんなあらすじ。ホンジュラスでの慧修学院高校襲撃事件後、日本で緊急事態庁が発足した。日本の中古品を途上国に送りその断捨離を図り、海底油田を掘り当てるなど国力は強くなり、内閣支持率は急激に回復していた。そんな中、"優莉結衣"の異母妹である"凜香"は「探偵の探偵」の"紗崎玲奈"の行方を追っていた。やがて結衣が北朝鮮を経て帰国を果たし、緊急事態庁を裏で操っていた"優莉架祷斗"がその本性を露わにしていく...。
 これ、テロリストの父親の教育を受けた高2の少女"優莉結衣"が、秩序再編をもくろむ半グレ組織や公安警察に戦いを挑むバイオレンスアクション小説第11弾。戦闘能力を高めていく優莉結衣や、その妹 凜香など、登場人物は相変わらず豊かでいい高揚感だが、今回のウェイ5兄弟とのくだりあたりはちょっと性急だった。それでもこのシリーズは第12弾「高校事変XII」で終わり。最後まで読み届けよう。

cf. 松岡圭祐 読破 List
黄砂の籠城 (2017)
黄砂の進撃 (2018)
高校事変 (2019)
高校事変II (2019)
高校事変III (2019)
高校事変IV (2019)
高校事変V (2020)
高校事変VI (2020)
高校事変VII (2020)
高校事変VIII (2020)
高校事変IX (2020)
高校事変X (2021)
- 高校事変XI (2021)

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Thursday, January 12, 2023

ROCKIN'ON JAPAN NOVEMBER 2022

Japan202211 巻頭特集がエルレなので、読んだ「ROCKIN'ON JAPAN NOVEMBER 2022」について。
 ●ELLEGARDEN:
 16年ぶりの新曲「Mountain Top」を聴いて、バンドがちゃんと機能して進行していることがただただうれしい。あれから16年、さ、Album「The End of Yesterday」を聴こう。

 これ以外の記事では、ONE OK ROCK「Luxury Disease」、ORANGE RANGE「Double Circle」あたり。

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Saturday, January 07, 2023

「青が散る/宮本輝」を読んだ

Terumiyamoto_aogachiru 引越の時に出てきた宮本輝の「青が散る」(文春文庫)。なんとなく読んでしまった。
 こんなあらすじ。大阪郊外の新設大学に入学した"椎名燎平"は、入学手続きの日に出会った"佐野夏子"に一目惚れする。その後、"金子慎一"に誘われてテニス部の創立に参加し、2人で炎天下でテニスコートを作る。そして燎平は大学生活をひたすらテニスに費やしていく...。
 これ、1982年に刊行された今から40年前の青春小説。部員同士の友情と敵意、勝利への邪道な欲望、勝ち進む者の孤独とコートから去って行く者の悲しみ、そこにお見合いや駆け落ちといった恋愛も絡んでいく。時代考証的には自分の大学時代とはだいぶ違うけど、どこかぐちゃぐちゃし、屈折した人間関係の本質は変わらない。あらためて残酷な小説だと思った。

cf. 宮本輝 読破 List
- 青が散る (1982)

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Thursday, December 29, 2022

代官山通信 Vol.160

Daikanyama160 ちょっと前に届いたサザンFAN CLUBの会報「代官山通信 Vol.160」について。
 今号は桑田佳祐ベストアルバム「いつも何処かで」、原坊の「婦人の肖像(Portrait of a Lady)」にめぐっての桑田と原坊の夫婦対談、YouTube「松田弘のサザンビート」あたり。桑田のソロツアーは今回もパスしてしまった...。うーん。

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Wednesday, December 28, 2022

ROCKIN'ON JAPAN OCTOBER 2022

Japan202210 別冊にRIJF2022特集号がついてるということでひさびさに買って読んだ「ROCKIN'ON JAPAN OCTOBER 2022」、ちょっと古いけど気になった記事について。
 ●ONE OK ROCK「Luxury Disease」:
 一度もしっかり聴いたことないワンオク。でも彼らの姿勢とかはなんか気になってる。ちゃんと聴いてみたいかも。
 ●別冊 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2022:
 3年ぶりに蘇我で復活したRIJF。この特別別冊には全ActのLive ReportとSet Listが載っていて、やっぱりこれはありがたい。で、自分が行ったのは8/11。(sick)boy→Creepy Nuts→ナンバガ→フォーリミ→10-FEET→ホルモン→キック・ザ・カン・クルー→ストレイテナー→バンプ...。どしゃ降りからピーカンな天気、最高な夏の1日だった。

 これ以外の記事では、[Alexandros]「But wait. Cats?」、04 Limited Sazabys「Harvest」、BiSH「サヨナラサラバ」、電気グルーヴの「シン・メロン牧場―花嫁とパイプのけむり」あたり。

 しっかしひさしぶりのJAPAN、全然誌面構成が変わってなくて、なんか安心して読める。

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より以前の記事一覧