Saturday, November 09, 2024

「プリンス/真山仁」を読んだ

Jinmayama_prince 「ハゲタカシリーズ」で、今年じわじわハマってる真山仁。今回は「プリンス」(PHP研究所)について。
 こんなあらすじ。軍事政権下の東南アジア国メコン共和国から日本に留学した"ピーター・オハラ"は、大学で政治活動に情熱を注ぐ"犬養渉"と意気投合した。父の"ジミー・オハラ"が祖国の民主化に向け、大統領選に出馬することを知ったピーターは父の選挙を応援するため、渉とともにメコンに帰国する。しかし、人々の期待を一身に背負ったジミーはメコンの空港で凶弾に斃れてしまう...。
 ドミノ大統領率いる軍事政権に独裁された東南アジアにある架空の国メコン共和国が舞台。そこで民主化を実現するために立ち上がった2人の若者を描いた国際政治小説がこれ。大統領選の裏に米英の影がうごめき、事態は複雑化して行くんだけど、まさにモデルになったミャンマーと同じ。2021年クーデター、民主主義の崩壊、アウンサンスーチーは監禁と、平和ボケした日本では考えられないことばかり。民主主義とはなにかを問いかけられた小説だった。

cf. 真山仁 読破 List
新装版 ハゲタカ (2013)
バイアウト (2006)
レッドゾーン (2009)
- プリンス (2021)

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Saturday, November 02, 2024

「しんがりで寝ています/三浦しをん」を読んだ

Shionmiura_shingaride たまーに読んでる三浦しをん。茅ヶ崎図書館で借りて読んでみた「しんがりで寝ています」(集英社)。
 これ、雑誌「BAILA」に連載されたエッセイ集。ピカチュウのぬいぐるみ、観葉植物、ハチとの闘い、親のこと、EXILE、道を知らないタクシー運転手、冬の耳の冷え、ラジオ体操...コロナ禍からコロナ明け、ぜんぜんたいしたことなくて、なんてことのない日常が書かれてる。
 しっかし、こんな豪快なエッセイを書くひととは思わなかったのが新鮮。

cf. 三浦しをん 読破 List
月魚 (2001)
月魚 (2001) #2
風が強く吹いている (2006)
まほろ駅前多田便利軒 (2006)
 (2008)
まほろ駅前番外地 (2009)
舟を編む (2011)
お友だちからお願いします (2012)
政と源 (2013)
愛なき世界 (2018)
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 エレジーは流れない (2021)
墨のゆらめき (2023)
- しんがりで寝ています (2024)

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Wednesday, October 30, 2024

「マリスアングル/誉田哲也」を読んだ

Tetsuyahonda_mariceangle ずっと読んでる誉田哲也。"姫川玲子シリーズ"から「マリスアングル」(光文社)について。
 こんなあらすじ。塞がれた窓、防音壁、追加錠...監禁目的の改装が施された民家で男性死体が発見された。警視庁捜査一課殺人班十一係主任"姫川玲子"が特捜に入るも、現場は証拠が隠滅されていて糸口はない。犯人は何の目的で死体を放置したのか...
 捜査一課に"魚住久江"が合流し、姫川班と共に、監禁目的の改築が施された民家で男性死体が発見された事件の真相を追うというもの。慰安婦問題など政治色の強い内容だったけれど、グロい描写は控えめな印象。それにしても、魚住久江巡査長の登場し、彼女の人間味や温かみが姫川班に新しい風を吹き込んでいくのがなんか微笑ましい。

cf. 誉田哲也 読破 List
妖の華 (2003)
アクセス (2004)
吉原暗黒譚 (2004)
春を嫌いになった理由 (2005)
疾風ガール (2005)
ジウI 警視庁特殊犯捜査係 (2005)
ストロベリーナイト (2006)
ジウII 警視庁特殊急襲部隊 (2006)
ジウIII 新世界秩序 (2006)
月光 (2006)
ソウルケイジ (2007)
武士道シックスティーン (2007)
国境事変 (2007)
シンメトリー (2008)
武士道セブンティーン (2008)
ヒトリシズカ (2008)
ガール・ミーツ・ガール (2009)
武士道エイティーン (2009)
ハング (2009)
インビジブルレイン (2009)
主よ、永遠の休息を (2010)
世界でいちばん長い写真 (2010)
歌舞伎町セブン (2010)
感染遊戯 (2011)
レイジ (2011)
ドルチェ (2011)
あなたの本 (2012)
誉田哲也 All Works/誉田哲也(監修) (2012)
痛み/貫井徳郎・福田和代・誉田哲也 (2012)
あなたが愛した記憶 (2012)
幸せの条件 (2012)
ブルーマーダー (2012)
ドンナ ビアンカ (2013)
増山超能力師事務所 (2013)
Qrosの女 (2013)
ケモノの城 (2014)
黒い羽 (2014)
歌舞伎町ダムド (2014)
インデックス (2014)
武士道ジェネレーション (2015)
プラージュ (2015)
硝子の太陽N-ノワール (2016)
硝子の太陽R-ルージュ (2016)
増山超能力師大戦争 (2017)
ノーマンズランド (2017)
あの夏、二人のルカ (2018)
ボーダレス (2018)
背中の蜘蛛 (2019)
妖の掟 (2020)
もう、聞こえない (2020)
オムニバス (2021)

フェイクフィクション (2021)
歌舞伎町ゲノム (2021)
アクトレス (2022)
- マリスアングル (2023)

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Saturday, October 26, 2024

「いわゆる「サザン」について/小貫信昭」を読んだ

Iwayurusasnitsuite 音楽評論家 小貫信昭によるサザンの45年をつづったノンフィクション「いわゆる「サザン」について」(水鈴社)。
あのベストテンでの「勝手にシンドバッド」を観てから、ずっとそばにいるBand。一曲一曲の曲に、Albumに、行ったLiveに思い出があって、なんか、サザンの歴史を確認することは、自分の人生を見つめ直すみたいだった。
バンドをやめそびれたってあるけど、最大の賛辞だと思う。

cf. サザンオールスターズ 関連本 読破 List
- SWITCH Vol.24 (2006)
- BRUTUS 703 (2011)
- SWITCH Vol.30 No.07 July 2012 (2012)
- SWITCH Vol.31 No.08 August 2013 (2013)
- AERA 2013年8月12-19日合併号 (2013)
- スペシャルマガジン 総力特集 サザンオールスターズ『葡萄』 (2015)
- サザンオールスターズ公式データブック1978-2019 (2019)
- 日刊スポーツ特別編集「サザンオールスターズ 45周年特集号」 (2024)
- いわゆる「サザン」について/小貫信昭 (2024)

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Friday, October 25, 2024

代官山通信 Vol.167

Daikanyama167 ちょっと前に届いたサザンFAN CLUBの会報「代官山通信 Vol.167」について。
 今号は、46周年に向けてのネタ満載。「恋のブギウギナイト」のPV撮影、「ジャンヌ・ダルクによろしく」、ロッキン25周年のひたちなかに大トリ出場やそのライブビューイング、さらに佳境な冬にでる16枚目のNEW ALBUMのこと。とりあえずライブビューイングに参加できてよかった。

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Wednesday, October 09, 2024

「転の声/尾崎世界観」を読んだ

Sekaikanozaki_tennokoe 茅ヶ崎図書館で借りた尾崎世界観の「転の声」(文藝春秋)について。
 こんなあらすじ。主人公の"以内右手"は、ROCK BAND「GiCCHO」のボーカリスト。着実に実績をつみあげてきて、ようやくテレビの人気生放送音楽番組に初出演を果たした。しかし、あるときから思うように声が出なくなり、自分の書いた曲なのにうまく歌いこなせない。この状態でバンドをどうやってプレミアムな存在に押し上げていったらいいのだろうか...。以内は焦っていた。そんなとき、カリスマ転売ヤー"エセケン"の甘い言葉が以内の耳をくすぐる。「俺を転売してくれませんか」
 これ、Bandの転売チケットにプレミアがついて高額で販売されることに喜びを覚え、SNS上の書き込みや転売サイトへの書き込みに異常に反応し、フェスの会場の客の一人ひとりの反応が気になってしょうがないフロントマンを描いた尾崎世界観にしか書けない小説。しかもエゴサをここまで書いたのは、尾崎世界観らしすぎるし、フェスやライブの描写も尾崎世界観の目でしか書けないもの。陰湿なんだけど面白かった。

cf. 尾崎世界観 読破 List
祐介 (2016)
苦汁100% (2017)
苦汁200% (2018)
身のある話と、歯に詰まるワタシ (2020)
母影 (2021)

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Saturday, October 05, 2024

「街とその不確かな壁/村上春樹」を読んだ

Harukimurakami_machitosono ひさしぶりの村上春樹、茅ヶ崎図書館で借りた「街とその不確かな壁」(新潮社)について。
 こんなあらすじ。17歳のぼくと16歳のきみ、夏の夕暮れ、川面を風が静かに吹き抜けていく。きみのの細い指はぼくの指に何かをこっそり語りかける。高い壁と望楼、図書館の暗闇、古い夢、そしてきみの面影。自分の居場所はいったいどこにあるのだろう...。
 これ、すぐ近くに存在する異界を描いたもの。「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」(1985)の静謐で閉じた世界だけど、作者が生きてきた時の長さを経た深みが濃くなっている。影を持たない壁の内側の世界には時間がなく、みなが役割を持ち、穏やかにすごしている。壁の外の世界が真実なのか、虚構なのがわからくなってくる。読んでいて、先が読めないことがたまらなかった。堪能です。

cf. 村上春樹 読破 List
風の歌を聴け (1979)
中国行きのスロウ・ボート (1980)
カンガルー日和 (1981)
象工場のハッピーエンド/村上春樹・安西水丸 (1983)
蛍・納屋を焼く・その他の短編 (1984)
回転木馬のデッド・ヒート (1985)
羊男のクリスマス/村上春樹・佐々木マキ (1985)
パン屋再襲撃 (1986)
レキシントンの幽霊 (1986)
ランゲルハンス島の午後/村上春樹・安西水丸 (1986)
ノルウェイの森 (1987)
ダンス・ダンス・ダンス (1988)
TVピープル (1990)
雨天炎天-ギリシャ・トルコ辺境紀行- (1990)
やがて哀しき外国語 (1994)
もし僕らのことばがウィスキーであったなら (1997)
ふわふわ/村上春樹・安西水丸 (1998)
Mr.and Mrs.Baby and Other Stories-犬の人生/Mark Strand-マーク・ストランド(1998)
神の子供たちはみな踊る (1999-2000)
海辺のカフカ (2002)
海辺のカフカ (2002) #2
アフターダーク (2004)
東京奇譚集 (2005)
ふしぎな図書館/村上春樹・佐々木マキ (2005)
走ることについて語るときに僕の語ること (2007)
うずまき猫のみつけかた <新装版> (2008)
1Q84 BOOK1 <4月-6月> (2009)
1Q84 BOOK2 <7月-9月> (2009)
1Q84 BOOK3 <10月-12月> (2010)
ねむり (2010)
夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集 1997-2009(2010)
村上春樹 雑文集 (2011)
1Q84 BOOK1 <4月-6月> 前編(文庫) (2012)
1Q84 BOOK1 <4月-6月> 後編(文庫) (2012)
1Q84 BOOK2 <7月-9月> 前編(文庫) (2012)
1Q84 BOOK2 <7月-9月> 後編(文庫) (2012)
1Q84 BOOK3 <10月-12月> 前編(文庫) (2012)
1Q84 BOOK3 <10月-12月> 後編(文庫) (2012)
おおきなかぶ、むずかしいアボカド 村上ラヂオ2/村上春樹・大橋歩 (2011)
サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3/村上春樹・大橋歩 (2012)
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 (2013)
恋しくて-TEN SELECTED LOVE STORIES-/村上春樹(編訳) (2013)
女のいない男たち (2014)
村上さんのところ/村上春樹・フジモトマサル (2015)
職業としての小説家 (2015)
ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集 (2015)
騎士団長殺し -第1部 顕れるイデア編- (2017)
騎士団長殺し -第2部 遷ろうメタファー編- (2017)
バースデイ・ガール (2017)
猫を棄てる -父親について語るとき- (2020)
村上T 僕の愛したTシャツたち (2020)
一人称単数 (2020)
- 街とその不確かな壁 (2023)

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Thursday, August 15, 2024

「リバー/奥田英朗」を読んだ

Hideookuda_river 茅ヶ崎図書館で借りた奥田英朗の犯罪小説「リバー」(集英社)について。
 こんなあらすじ。群馬県桐生市、栃木県足利市で若い女性の遺体が相次いで発見された。首を絞められて殺害されたとみられる2人の遺体は全裸で、両手を縛られているという共通点があった。そのうえ発見場所はいずれも、群馬県と栃木県の県境付近を流れる渡良瀬川の河川敷だった。10年前にも同じ河川敷で若い女性の全裸遺体が発見された未解決連続殺人事件に、刑事達は胸騒ぎをおぼえる。犯人は10年前と同一犯か。それとも模倣犯か...。
 10年前、容疑をかけられた男、取り調べを担当した元刑事、娘を殺され、執念深く犯人捜しを続ける父親、若手新聞記者、犯罪心理学者、新たな容疑者達...渡良瀬川連続殺人事件をめぐり、それぞれの視点から物語が描かれていく。事件の真相を追及する複数の目線が緻密に進められるので、群像劇の面も強い。しっかし、648ページの分厚さに読み応え十分。面白かった。

cf. 奥田英朗 読破 List
B型陳情団 (1990)
ウランバーナの森 (1997)
最悪 (1999)
邪魔 (2001)
東京物語 (2001)
イン・ザ・プール (2002)
延長戦に入りました (2002)
マドンナ (2002)
真夜中のマーチ (2003)
空中ブランコ (2004)
サウスバウンド (2005)
ララピポ (2005)
ガール (2006)
町長選挙 (2006)
家日和 (2007)
オリンピックの身代金 (2008)
用もないのに (2009)
無理 (2009)
聖なる夜に君は/奥田英朗・角田光代・大崎善生・島本理生・盛田隆二・蓮見圭一(2009)
純平、考え直せ (2011)
我が家の問題 (2011)
あの日、君と Boys/ナツイチ制作委員会(編)・伊坂幸太郎(著)・井上荒野(著)・奥田英朗(著)・佐川光晴(著)・中村航(著)・西加奈子(著)・柳広司(著)・山本幸久(著) (2012)
短編工場/浅田次郎・伊坂幸太郎・石田衣良・荻原浩・奥田英朗・乙一・熊谷達也・桜木紫乃・桜庭一樹・道尾秀介・宮部みゆき・村山由佳 (2012)
噂の女 (2012)
沈黙の町で (2013)
田舎でロックンロール (2014)
ナオミとカナコ (2014)
我が家のヒミツ (2015)
向田理髪店 (2016)
ヴァラエティ (2016)
恋愛仮免中/奥田英朗・窪美澄・荻原浩・原田マハ・中江有里 (2017)
罪の轍 (2019)
コロナと潜水服 (2020)
- リバー (2022)
- コメンテーター (2023)

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Wednesday, July 31, 2024

「永遠と横道世之介/吉田修一」を読んだ

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 吉田修一の「永遠と横道世之介」</>(毎日新聞出版)について。
 こんなあらすじ。39歳になったカメラマン"横道世之介"は東京郊外に建つ下宿「ドーミー吉祥寺の南」に暮らしていた。元芸者の祖母が始めた下宿を切り盛りする"あけみちゃん"、最古参の元芸人の営業マン"礼二さん"、書店員の"大福さん"、大学生の"谷尻くん"とゆるーっと暮らす毎日に、知り合いのベテラン教師"ムーさん"の引きこもりの息子"一歩"が入居することになった...。
 「横道世之介」(2009)、「続 横道世之介」(2019)に続く完結編。しっかし、海で読んでて、世之介と永遠ちゃんが生まれるシーンがシンクロするんだけど、ここはほんと泣けた。そして、今回も心にひっかかる言葉がたくさんあった。
例えば、「死んでも世の中はそれまでと変わらず動いていく、でもそこにいた世界と最初からいなかった世界ではやっぱり何かが違う。それが一人の人間が生きたってことですよ」
例えば、「この世で一番大切なのはリラックスしていることですよ」
 ほんといい本です。もう1回3冊を読み直したい。

cf. 吉田修一 読破 List
最後の息子 (1999)
熱帯魚 (2001)
パレード (2002)
パーク・ライフ (2002)
日曜日たち (2003)
東京湾景 (2003)
長崎乱楽坂 (2004)
ランドマーク (2004)
7月24日通り (2004)
春、バーニーズで (2004)
ひなた (2006)
女たちは二度遊ぶ (2006)
初恋温泉 (2006)
うりずん/吉田修一・佐内正史 (2007)
悪人 (2007)
静かな爆弾 (2008)
さよなら渓谷 (2008)
あの空の下で (2008)
元職員 (2008)
キャンセルされた街の案内 (2009)
横道世之介 (2009)
空の冒険 (2010)
平成猿蟹合戦図 (2011)
太陽は動かない (2012)
路(ルウ) (2012)
愛に乱暴 (2013)
怒り (2014)
森は知っている (2015)
作家と一日 (2015)
橋を渡る (2016)
犯罪小説集 (2016)
最後に手にしたいもの (2017)
泣きたくなるような青空 (2017)
ウォーターゲーム (2018)
国宝 上 青春篇 (2018)
国宝 下 花道篇 (2018)
続 横道世之介 (2019)
逃亡小説集 (2019)
アンジュと頭獅王 (2019)
恋愛 コレクションII (2019)
湖の女たち (2020)
ブランド (2021)
オリンピックにふれる (2021)

ミス・サンシャイン (2022)
- 永遠と横道世之介 (2023)
- 素晴らしき世界~もう一度旅へ (2023)

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Monday, July 22, 2024

「キネマの神様」を観た

Kinemanokamisama 原田マハの「お帰り キネマの神様」を読んで、無性に観たくなった「キネマの神様」(2021/Cinema)について。
 あらためてこんなあらすじ。映画監督を目指し、助監督として撮影現場で働く若き日のゴウ(菅田将暉)は、撮影所近くの食堂の娘"淑子"(永野芽郁)や映写技師テラシン(野田洋次郎)とともに夢を語らい、青春の日々を駆け抜けていた。しかし、初監督作「キネマの神様」の撮影初日に転落事故で大きなケガを負い、作品は幻となってしまう。大きな挫折を味わったゴウは夢を追うことを諦めてしまい、撮影所を辞めて田舎へと帰っていった。それから約50年。かつて自身が手がけた「キネマの神様」の脚本が出てきたことで、ゴウ(沢田研二)の中で止まっていた夢が再び動き始める...。
 山田洋次が監督したこの作品。当初、ゴウ役は志村けんが務める予定だったが、コロナ感染症の肺炎により降板し、後に死去したため、沢田が志村の意思を継ぎ、ゴウを演じることになったもの。劇中、泥酔した沢田が東村山音頭を歌うシーンがたまらない。こういう日本映画らしい映画もたまにはいいです。

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